結界が破られた。超能力をもつ兄弟、霧原直人と霧原直也は、15年間の隔離生活を捨てて街に出る。憧れであった普通の人生を手に入れるために。「おまえたちが外に出るとマイナスのパワーをひきつけてしまう」御厨恭二朗の言葉がふたりの胸をよぎる。兄弟の周囲に渦巻く悪意、そして絶望。存在理由を模索したふたりの運命の旅が、今、始まった。
蘇る殺人の映像が直也を蝕む。彼がリーディングしたゆきずりのアベックは、連続ホテル絞殺事件の犯人だった。弟を救うために事件の解明にのりだす直人。悪夢に苦しめられている直也に、時空のひずみに生きている少女、翔子は真実のメッセージを伝える。
仲間と思われるかすかな意識にひきよせられ、兄弟はディスコの送迎バスに乗った。そこに乗り合わせたのは、失踪中のサイキックタレント、ミラクルミック。彼はバスの乗客に罵倒され、本物ならスプーンを曲げてみろと迫られるが。
兄弟を乗せた車は失われた過去にむかっていた。ふたりの心に蘇る、15年前に別れた両親の思い出と、能力が強くなるきっかけとなった事件。胸騒ぎを覚えながら家を訪ねた直人と直也は、そこに思いがけない光景を見て立ちすくんだ。
不可解な連続自殺に秘められた真相は何なのか。死んだ5人の高校生は全員親友で、この1カ月半の間に次々とカミソリで手首を切っていた。御厨に調査を依頼された直人と直也は、事件を調べていくうちに意外な真実をつきとめてしまう。
女子高校生、翔子が失踪して3週間後、直人と直也は友人の美紀に会い、翔子の残した不思議なメッセージを告げられた。それによると、ふたりはこれから起こる『変革』にとって絶対に必要な存在だという。戸惑うふたりの前に、マイナスの存在、Yが出現した。
ある朝目が覚めると、直人の隣には見知らぬ女、友香がいた。驚いたことに、ふたりは1カ月前に結婚したばかりだという。憧れていたごく普通の生活を営んでいる直人。これは夢なのか現実なのか。いったい直也はどこにいってしまったのか。
直也はひとりの優しい少女、瑞樹の意識と出会い、心が通いあう。だが、現実の彼女は昏睡状態で入院中だった。夢の世界で逢瀬を重ねるふたり。なぜ、瑞樹は目を覚まさないのか。直也は現実を拒否し続ける彼女の、心の奥底に隠された秘密に触れた。
以前に出会ったテレパスをもつ女、唯が直人と直也に助けを求めてきた。ある男に触発されてリ－ディング能力が増大し、他人の卑猥な考え方や行動、そして秘密までもが全部わかるようになってしまったのだという。そんな自分の力を呪う唯だったが。
「殺される！」と逃げてきた女。智美に触れた直也が見たものは、自分たちの死のビジョンだった。はたして、それは予知なのか。新薬の研究を進めている彼女に、固い殺意を秘めて恋人が詰め寄る。その背後には、予知能力者、神谷司の影があった。
御厨から超能力を一時的に抑える薬が届いた。直也の強い要望で試しに服用してみると、激しい幻覚症状のあとふたりの能力は消滅していた。開放感にひたって街をゆく兄弟。だが、そんな喜びもつかの間、恐ろしい副作用がふたりを襲いかかった。
無関係の男女3人が深夜の廃ビルで殺し合うという、凄惨な殺人事件が起きた。事件を担当する刑事は超能力など頭から信じていない。捜査を進めていく彼は、やがて百目鬼セミナーという脳開発を目的とした新興宗教まがいの集団につきあたった。単身でセミナーに乗りこもうとする刑事の前に、直人と直也が現れる。
幼い少女から助けを求める意識をキャッチした直也。導かれてふたりがやってきたアパートは、欲と悪意の巣窟と化していた。超能力をもつ少女を利用して金儲けを企む住民たち。絶望的な孤独から少女を救うために、直人と直也は彼らと闘ったが。
喫茶店を経営する美しい姉妹は、原因不明のポルターガイスト現象に悩んでいた。姉に結婚話がもちあがると、必ずその恋人がトラブルに巻きこまれてしまう。たまたま店に居合わせた直人と直也がリーディングで知った、姉妹を取り巻く意外な真実とは。
凶悪な男たちに直也が刺された。瀕死の重傷を負いながらも、直也は男たちに誘拐された少女を助けるようテレパシーで兄に頼んだ。だが、直人が駆けつけたときには、少女は無残に殺された後だった。怒りの直人は犯人たちと闘うが、彼もまた囚われの身に。
「誰かがぼくたちを狙っている」強烈な悪意を感じたその日から、直人と直也に次々と危険が襲いかかる。いったい誰がふたりを殺そうとしているのか。サラリーマン、主婦、子供など、ごく普通の人々による殺人の陰に浮かびあがったのは、意外な人物だった。
岬老人に導かれ、直人と直也は下町に住む老人、花輪正太郎のもとを訪れた。花輪は超能力者で、医者に見放された病人たちの命をヒーリングによって救っている。ふたりは彼の行いに感動を覚えた。そんなある日、近くの産婦人科の息子が死体で発見される。
花輪の意外な告白に、直人と直也は驚きを隠せなかった。どんどん強大になっていく花輪の力は次第に恐れの対象となり、社会との接点を失っていく。憤る兄弟たちに、花輪は超能力の未来のビジョンを見せるのだった。
宇宙存在と交信する大学生、綾のチャネリングに立ち会った直人と直也。アービングと名乗る宇宙存在は、ふたりに劣等感を捨て、選ばれた者だという自覚を持てと告げる。だが、兄弟はチャネラー、綾の様子に疑問を持った。本当にこれが宇宙存在の言葉なのか。
御厨からの助けを求める意識を直也が感知した。不安を覚えたふたりは、暗い思い出の残る森の中の研究所を訪れる。しかし、屋敷は何者かによって無残にも破壊され、御厨は幽閉の身となっていた。
直也に変化が訪れた。能力が大きく進化した彼は突然意識を失い、覚醒したときには翔子の残した象形文字のノートを解読できるようになっていた。そして、ついに肉体ごと消えてしまう。やがて直人の元へ戻ってきた彼は、両親の居場所がわかったと告げる。
直人と直也は見知らぬ男、双海から助けを求めるメッセージ受ける。導かれるまま赴いた会社、ARKでふたりを待っていたのは、反能力者の坂口だった。物質文明の崩壊を恐れる彼らは、直人たちを社員に勧誘するが－。