All Seasons

Season 2020

  • S2020E01 「オトコとオンナ “性”のゆらぎのミステリー」

    • October 1, 2020
    • NHK

    第1回のテーマは「性のゆらぎ」。「オトコ」と「オンナ」の2つと思われてきた性が、実はグラデーションのようになっていて、2つに分けられないことがわかってきた。またオトコのY染色体が小さくなり、将来、消滅してしまうことも予見されている。実は自然界では、オスがメスに性転換したり、メスだけで子どもを産んだりする生物も多い。「性スペクトラム」などの最新研究をもとに、「性のゆらぎ」から人間の根源を妄想する。

  • S2020E02 「“聴覚” 世界をつかむ精緻な進化」

    今回のテーマは「聴覚」。母親の胎内にいる頃から活動を始め、世界と私たちをつなげてくれる能力だ。真っ暗闇の世界で私たちの祖先が獲物を捕らえ、危険を察知するため発達。人間は、人の声の領域を中心に聞き分けられるように進化し、わずかな音程や音色、響きをとらえ、心の豊かさを生み出すまでになった。脳と耳の驚きの連係プレーで、独特な能力へと成長してゆく「聴覚」。その不思議な進化の物語から、人間の根源を妄想する。

  • S2020E03 「“腸” 脳さえも支配する?」

    今回のテーマは「腸」。腸は自らが“考え”行動する臓器だ。1億もの神経細胞と、栄養を判別するセンサーを持つ腸は、脳とは独立した生命体のように活動する。脳の神経細胞は、もともと腸から生まれたことから、いわば脳の親ともいえる存在である。さらに「人格」や「感情」、「好み」といった脳の本能的な部分に、腸が深く関わっていることもわかってきた。腸と脳という二つの“考える臓器”が交錯する、人間の根源を妄想する。

  • S2020E04 「“体毛” 毛を捨てたサル」

    巨大な脳、二足歩行と同様、動物と一線を画す人間の特徴は「毛がないこと」。実は、巨大な脳も、毛を捨てたことがきっかけだという。その選択こそ、我々の祖先が弱肉強食のアフリカの草原で、強さを手にいれ、脳の急激な発達をもたらした。しかし、すべての毛を捨てた訳ではない。頭髪やわき毛、陰毛にも、人間らしさを守るための必然的な進化の理由があったのだ。「毛を捨てた」進化の痕跡から、人間らしさの根源を妄想する。

  • S2020E05 「“嗅覚” 生命のバロメーター」

    今回のテーマは「嗅覚」。数十万種という「匂い物質」を見分ける探知能力。2004年ノーベル賞受賞にもなっている嗅覚受容体と、脳の連携によって得られた複雑なシステムだ。しかも嗅覚は進化で柔軟に変化する。火を使う人間は約400もの嗅覚受容体を駆使し、食物の豊かな風味を嗅ぎ分けるという。そしてその匂いは脳の情動や記憶の中枢を通じ、感情をコントロールするのだ。生命に直結する力、嗅覚がもたらす喜びを妄想する。

  • S2020E06 「“自由な意志” それは幻想なのか?」

    私たちは「意志を持って自由に決断をしている」と信じて疑わない。その「自由な意志」が今回のテーマ。最新の脳科学は、「自由な意志」は脳がつくっている錯覚、幻想かもしれないという。無数の電気信号が飛び交う脳の神経細胞の活動は、意志が関与する前に勝手に動き出し、それによって後付けのように生まれるのが意志だというのだ。では、いったい脳は誰のものなのか。驚きの実験で明らかになる、私という存在の根源を妄想する。

  • S2020E07 「“指” ヒトとサルの分岐点」

    今回のテーマは「指」。食べ物を得て道具を作る。その人間らしさの始まりは「親指」の進化にある。特別な関節のおかげで2方向の自由度で動かせるようになり、石器や道具を自在に使えるようになった。また5本の指を駆使した、つまむ、触れるといった繊細なタッチはスーパーコンピューターにも困難な計算が必要で、脳の発達を促し音楽や科学などの文化を生み出したというのだ。感覚と制御が一体となった「指」の価値を妄想する。

  • S2020E08 「“思春期” リスクテイクの人類戦略」

    コドモからオトナへ「思春期」がテーマ。最新の脳科学では思春期は30歳まで続くという。脳神経線維のミエリン化がその頃まで完成しないと、性ホルモンが脳に引き起こす「衝動」を抑えられないためだ。だが、それは人類進化で大きな意味を持つことも明らかに。思春期の感情的なリスクテイク行動が「好奇心」につながり、地球全体への生息域の拡大につながったというのだ。人類誕生から現代まで時空を超えて「思春期」を妄想する。

  • S2020E09 「“目” 物も心も見抜くセンサー」

    実は人によって、同じ景色でも違う“色”で見えている。多型色覚という人間に秘められた「目」の多様性がテーマ。色やの見え方の違いは“個性”であり、協力しあうことで人類は生存競争を生き抜くことができた。そして白目を持つことで生まれた「視線」は、ヒトが一瞬で心を通わせて、他の生物にはない集団コミュニケーションを可能にする進化の賜物だった。目で心を伝え、読み取る。絆の出発点「目」の驚くべき能力を妄想する。

  • S2020E10 「“心臓” 心が宿る もう一人の私」

    • January 14, 2021
    • NHK

    全身に血液を送るポンプ「心臓」。ハートと呼ばれるように、人の心を象徴するのはなぜか?最新研究によって、心臓は自ら判断する独立性の高い臓器だとわかってきた。脳ができる前から脈打つ心筋細胞。集団で連動して鼓動を打ち、血液量を察知し変形する自由な存在だ。さらに心臓は、脳をコントロールしてストレスを管理。そして電磁波で他人の心臓と連動する可能性も浮かび上がる。心臓の一生に秘められたミステリーを妄想する。

  • S2020E11 「“スリル” 限界を超える翼」

    恐怖と快感の不思議な感覚「スリル」。なぜヒトは危険や恐怖に惹かれるのか?脳科学などからその正体は、恐怖と連動するアドレナリン、ドーパミンのせめぎあいであることが明らかに。進化の過程では、このスリルの“至福の感覚”が、人類の背中を押し、地上という新天地へ踏み出させたと推察される。さらにスリルが苦手な人の存在も人類の繁栄に欠かせなかったという見解も。スリルがもたらした、限界突破の人類史を妄想する。

  • S2020E12 「“ウイルス” それは悪魔か天使か」

    世界で猛威をふるう「ウイルス」。多くの人に死をもたらす悪魔的存在だ。しかしこのウイルス、人類進化の根本に深く関わる天使の側面も持つことがわかってきた。例えば、哺乳類の胎盤に欠かせない遺伝子PEG10は、恐竜時代に私たちの祖先に感染したウイルスがもたらしたものだという。さらに人間の象徴、脳の進化にもウイルスが関与していることが明らかになってきた。ウイルスは天使か悪魔か?数億年の時空を超えて妄想する。

  • S2020E13 「“血液” 魔法の体液」

    生命や若さの源として神秘的な存在である「血液」。現代科学はその真実に迫りつつある。性格を連想しがちなABOなどの血液型で、今、注目されているのは感染症との因果関係。さらにドラキュラ伝説のように若い体の血液が、別の老いた体を若返らせることが動物実験で確認された。現在、その鍵を握る血液成分も特定されつつある。さらに両生類の血液から体のパーツを再生させる仕組みも明らかに。血液が秘めた驚きの力を妄想する。

  • S2020E14 「“皮膚” 0番目の脳」

    「皮膚」には、目でなくても“光”を捉え、耳でなくても“音”を聞き、舌でなくても“味”を知るという感覚が備わっていることがわかってきた。その皮膚の能力は生命進化において、脳が生まれる前から存在していたため「0番目の脳」とも呼ばれる。皮膚の存在は自分の内と外を区別するために不可欠。そのため、もし皮膚感覚を失うと「私」を認知できなくなり、自己を喪失してしまうという。皮膚に秘められた驚きの力を妄想する。

  • S2020E15 「“ダンス” ヒトはなぜ踊るのか」

    どんな時代も、どんな民族も、人類はみな「踊る」。音楽に合わせ踊るのは、人間らしさの原点。言語獲得にも深く関わり、あらゆる文化の出発点でもあるという。そのカギを握となるのは、音にあわせ、他人に合わせることを可能にする脳内のミラーミューロンの存在だ。それは人類の仲間同士の共鳴・同調を生み、地球上のあらゆる場所への進出を可能にしたという。「ヒトはなぜ踊るのか」人類のコミュニケーションの原点から妄想する。

  • S2020E16 「“死” 生命最大の発明」

    「死は生命最大の発明」と語ったのがスティーブ・ジョブズ。そして科学者たちは「死」は、生命が進化のために獲得したシステムだという見解を見出ている。実は私たちは、いつか朽ち果てるカラダという乗り物を使って、生殖細胞という不死の細胞を次世代に受け継ぎ、多様性を手にしてきたというのだ。さらに生と死の境界におこる脳の不思議な世界や、寿命延長の可能性を秘める人工冬眠などの最新研究から、「死」の意味を妄想する。

Season 2021

  • S2021E01 「“がん” それは宿命との戦い」

    • April 8, 2021
    • NHK

    生涯に2人に1人がなる「がん」。実は私たちは、生まれながらに「がん遺伝子」を持ち、命を紡いでいる。例えば精子と卵子の受精の瞬間でも、体を成長させるために細胞が増えるときも、若さを保つ新陳代謝のときも「がん遺伝子」は欠かせない。時に命をはぐくみ、時に命を奪う「がん遺伝子」。それは37兆の細胞がコミュニケーションする多細胞生物の宿命でもあるのだ。細胞社会の秘密をひも解き、がんと戦うヒントを妄想する。

  • S2021E01 「“出産” ヒトは難産を選んだ」

    繁栄の根幹「出産」。なぜか哺乳類でヒトだけが、命がけで何時間も叫び声を上げるほど“難産”だ。ヒトは二足歩行で骨盤の穴が狭くなる一方で、脳の巨大化でより難産となった。しかし難産の苦しみこそ、仲間で育児をする仕組みを生み、発展の原動力になったという。さらに難産を乗り越えるためのホルモン、狭い産道を通り抜ける赤ちゃんの驚きの進化、母から子に受け継がれる細胞の最新研究も紹介!難産の苦闘の意味を妄想する。

  • S2021E02 「“涙” 秘められた魔法のチカラ」

    悲しいとき、つらいとき、嬉しいとき、悔しいとき、様々な感情でポロリと落ちる「涙」。なぜ私たちは“泣く”のか。実はヒトの涙だけが持つ不思議な能力が明らかに。“感情の涙”は、脳のある特定の場所が鋭く反応、興奮と沈静化という急激なスイッチの切り替えによって、私たちの心を守る“安全弁”として機能していたのだ。さらに他人をコントロールする涙の“メッセージ物質”の存在にも迫る。ヒトが流す涙の意味を妄想する。

  • S2021E03 SP 「“性とウイルス” 人間を生んだ力とは?」

    最新科学で明らかになったオトコとオンナ。それは実はグラデーションで、2つにわけることができない。しかも今、オトコのY染色体は消滅の危機にあり、いつ無くなってもおかしくないという。オトコは消えてしまうのか?そして私たち人間への劇的な進化を支えたのが「ウイルス」。実は哺乳類が子孫を残すために欠かせない胎盤は、ウイルスが体内に持ち込んだ遺伝子のおかげだ。人間を生み出す力とは何か、その根源を妄想する。

  • S2021E04 「“衣服” 服を着るという進化」

    服を着るのはあたりまえ。しかし「服」は人類の進化を加速させ、社会や文明を生み出す原動力となった。7万年前、気候変動の危機に直面した人類は、毛皮で覆うだけでなく、針や糸による縫製を発明。服は氷河期のシベリアなどへの世界進出の武器となる。服がさらに進化すると、様々な民族の絆を守り、そこに文化が生まれる。さらに服によって統率された強靭な組織は、国家や文明を生んだ。「服」が生み出した進化の意味を妄想する。

  • S2021E05 90分SP 「人間を生んだ力とは?」

    今回は「人間を生んだ力」をひも解く90分スペシャル。前半は遺伝子やホルモンが生み出す男と女の「性」の多様性や、哺乳類の胎盤や、脳の進化に「ウイルス」感染が関わっていたという驚きの事実などから生命の神秘に迫る。そして、後半は私たちの体内に秘められた多様性を「血液」「腸」「細胞」から見つめ、予測不可能な未来の危険を回避するために生み出した生命の工夫を紹介。進化の先にある未知なる世界を妄想する。

  • S2021E06 「“天才” ひらめきのミステリー」

    独創的な発想で世界を変える「天才」たち。その「ひらめき」に最新科学は迫る。天才棋士の直感は、大脳基底核が瞬時に生み出す。独創的なアイデアは脳の回路、デフォルト・モード・ネットワークで、記憶の海を散歩しながら着想されるという。さらにアインシュタインの脳を解剖した結果、1.7倍の「グリア細胞」が発見され、知性をもたらす新たな仕組みが明らかに。天才とIQの意外な関係など、天才の頭脳の深淵を妄想する。

  • S2021E07 「“舌” 変幻自在の開拓者」

    「舌」はもともと“手”だったという。生命が海から陸に上がったとき獲得した舌は「獲物を捕らえる」役目。ビューンと延ばし虫を捕らえるカメレオン、30センチもの舌で枝葉をもぎ取るキリンなど、その生態に合わせて舌は変容してきた。そしてヒトの舌はさらに特別な進化を遂げた。外で獲物を捕らえるかわりに、口内で躍動することで多様な発音“言葉”を生み出したのだ。生命進化を加速させた舌という変幻自在の存在を妄想する。

  • S2021E08 「“睡眠” ヒトは眠りで進化した?」

    特別な「睡眠」がヒトに知性をもたらすという。睡眠中、神経細胞のシナプスが新たに生み出され、さらにスクラップ&ビルドされていることがわかってきた。それは毎晩繰り返される“深い眠り”と“活発な脳活動の眠り”の相互作用のおかげ。2つの眠りは“進化の大イベント”とも言えるのだ。さらに夢をのぞき見することも可能にするという、脳スキャン人工知能の最前線も!眠りは人類に何をもたらしたのか、その神秘を妄想する。

  • S2021E09 「“肝臓” 毒と戦う勇者」

    “食べるというキケン行為”に挑む臓器、それが「肝臓」だ。例えばジャガイモなど、野菜の多くはアルカノイドなどの自己防衛物質、いわば“毒”を作る。さらにお酒のアルコールは分解過程で猛毒をまき散らし、たんぱく質からは分解される度に大量の毒が発生。それらを24時間休みなく500以上の化学反応で処理しながら、栄養素を生成し続けるのが肝臓なのだ。あらゆる食の環境に絶えず適応・進化してきた肝臓の戦いを妄想する。

  • S2021E10 「“腸内細菌” 見えない支配者たち」

    私たちの体内で暮らす100兆もの「腸内細菌」。いったい何者でどこから来たのか?その原点は、地球の黎明期を支配した細菌たちだ。無酸素をこよなく愛する彼らが、紆余曲折の末たどり着いた「腸」。安住の地で様々な物質を生産することで、母体をコントロールする術を学んだ。やがて、ヒトの免疫を飼い慣らし、食の好みを決め、脳さえもあやつる力を持つまでになる。生態系をあやつる“旅する生命”腸内細菌を根源から妄想する。

  • S2021E11 「“腸内細菌” ヒトを飛躍させる生命体」

    • July 22, 2021
    • NHK

    人類の問題を解決してくれるのは「腸内細菌」!?そんな妄想が最新科学から見えてきた。例えばオリンピック選手から発見された腸内細菌。アスリートの成績を上げる研究が注目だ。そして難病治療への腸内細菌。他人の便を移植することで、潰瘍性大腸炎をはじめ、うつ病やパーキンソン病など脳疾患を改善する新戦略に期待が集まる。さらに地球規模の食料問題を解決する手段にも!腸内細菌を利用し健康パワーを高める未来を妄想する。

Season 2023

  • S2023E01 “超・変異” 次の進化をたくらむDNA

    • April 10, 2023
    • NHK

    “突然変異”は生命を脅かすかもしれないDNAの書き換え。生命はその書き換えをさせない仕組みによりDNAを守ってきた。だが最新研究は、大規模なゲノム書き換えがあったことを教えてくれる。ゲノムの45%を占める“跳躍するDNA”、遺伝情報を倍増させる“全ゲノム重複”、他の生命体から遺伝情報を奪う“獲得遺伝子”などだ。DNAの自由奔放なふるまいの本質とは何か。「超・変異」とも言うべき大胆な戦略を妄想する。

  • S2023E02 “神経” 謎だらけのネットワーク

    • April 24, 2023
    • NHK

    人体を操る高速ネットワーク「神経」。実はヒトの神経は、ずば抜けて“遅い”。神経細胞数が多いヒトは、他の霊長類に比べて視覚や聴覚などの反応が遅いのだが、そのおかげで“間”を理解でき、言語や音楽などを生み出すことが可能になったという。神経は、大きくわけて中枢と末しょうがあるが、末しょうを生み出した神経堤細胞には、驚異の再生力をはじめ、未解明の“チカラ”が秘められている。謎に満ちた神経世界を妄想する。

  • S2023E03 “友情” 集団で生きるための発明

    • May 8, 2023
    • NHK

    「友情」は人間が“発明”した独自のもの。他の霊長類は血縁中心の集団で生きているが、ヒトは友情を基礎として多様な集団を作り社会を形成する。その根底には、友情を失ったときの“孤独”を、体の痛みと同じように認識する脳のメカニズムがあり、ヒトの進化を後押ししたかもしれないという。最新研究から友情を育むためには、幼少期の訓練が必要で、さらに身体の同調もカギとなることが明らかに。友情のつきない悩みを探究する。

  • S2023E04 “CO2” 見えざる生命の創造者

    • May 22, 2023
    • NHK

    二酸化炭素「CO2」。実は太古、地球の大気はほぼCO2だったという。いったいどこへいったのか?いまその多くは地中深く岩石、石炭、石油として蓄えられている。さらにCO2は生命の源、有機物に深くかかわっている。地球上の生命は炭素でできており、根源をたどれば大気のCO2に行き着くのだ。いま人類が短期間で大気に解き放っているCO2。ダイナミックな46億年の炭素循環からCO2と地球温暖化の本質を捉えなおす。

  • S2023E05 “鉄” 天地創造のテツ学

    • June 5, 2023
    • NHK

    強固な素材として活用される「鉄」は、私たちのカラダの内にも存在する。血液中で酸素を運び、細胞では鉄を介してエネルギーを作る。DNAも鉄が無ければ作れない。鉄は生命にとって必需品なのだ。一方、鉄は体内に多すぎると毒性を発揮。扱いが難しいため生物は鉄を保管する特別な仕組みをあみ出した。そもそもこの地球が生命の星に変わったのも実は鉄の力だという。世界の根源は「鉄」なのか?鉄をめぐる創造の物語を妄想する。

  • S2023E06 “虫” 地球のもうひとつの主人公

    • June 19, 2023
    • NHK

    地球上で最大勢力の動物、100万種以上といわれる「虫」。その生き方には、驚くべき進化の戦略が秘められている。例えば、短命で多産だからこそ、大胆な遺伝子変容を素早く起こせる。また血管を持たない内臓システムは、恐竜の遺伝子を奪い取るという荒業も可能にしたという。さらに、小さな脳でも高度な知性を生み出すことができる集合知。「個」より「集団」で繁栄を遂げた「虫」たちの戦略から、ヒトがとるべき道を妄想する。

  • S2023E07 “生体電気” 電気仕掛けのココロとカラダ

    • July 3, 2023
    • NHK

    私たちのカラダを行き交う微弱な「生体電気」。それは凄く“遅い”。電線を流れる電気は1秒地球7周半という猛スピードだが、神経を伝わる電気は最速で120メートル。だがそれらの特性のおかげで、私たちの心や思考が生まれているというのだ。生体電気は、細胞で“発電”され、脳、筋肉、心臓だけでなく、ヒト誕生の瞬間、受精にも深くかかわっている。生命の根幹「生体電気」。その仕掛けから生まれたヒトの不思議を妄想する。

  • S2023E08 “宇宙体験” 私たちの“次なる章”がはじまる

    • July 10, 2023
    • NHK

    人類初の「宇宙体験」からおよそ60年。「宇宙に行けばいいという時代は終わった」と宇宙飛行士の野口聡一さんは断言する。そこは、海から陸へ40億年の進化をしてきた私たちが、次に目指す新天地。ヒトの肉体、精神、思考、そして文明のあり方も、重力から解き放たれ、地球上とは異なる価値観に上書きされるという。さらに地球外生命の研究は生命科学に根源的なインパクトを与える可能性も!ヒトの新たなチャプターを妄想する。

  • S2023E09 “乳” 進化する神秘の液体

    • July 24, 2023
    • NHK

    「乳」を与えて育てる生き物、哺乳類。私たちヒトもその仲間だ。未熟な胎児を守り成長を促すため、「乳」はその成分を生息環境ごとに変え、工夫した。極寒に棲むアザラシの乳は脂肪分が多く、極暑に生きるシマウマは水分が多い。ヒトの乳の特徴は「ミルクオリゴ糖」が極めて多いこと。生後1年で脳を大きくするヒトの進化の原動力なのだ。そして感染を防ぐ免疫や社会性獲得との関連も明らかに!「乳」の知られざる役割を妄想する。

  • S2023E10 “整理整頓” それはヒトの本能なのか

    • August 7, 2023
    • NHK

    モノにあふれた現代人にとって重要なテーマ「整理整頓」。その理由の1つは、複雑な思考の舞台、脳のワーキングメモリの制約にあるという。わずかな情報しか扱えないため、そもそも整理整頓が不可欠なのだとか…。考古学者は、ヒトが集団で暮らし文明を築いたのは整理整頓のおかげと考え、生命科学者は、DNAや神経細胞に自らを整理整頓し機能させる生命の巧みな姿を見いだす。私たちの想像を凌駕する「整理整頓」。神髄に迫る。

  • S2023E11 “免疫” 曖昧な“わたし”をめぐるドラマ

    • August 28, 2023
    • NHK

    わたしたちを24時間守り続ける「免疫」。その心強い味方を邪魔する“Tレグ”という細胞が今回の主役だ。なぜ免疫なのに免疫の攻撃を邪魔するのか。実は“わたし”という存在をあえて曖昧にとらえるため、5億年前わざわざ発明されたことがわかってきた。さらに免疫システムに自ら攻撃を停止する“疲弊”スイッチも明らかに。ヒト誕生から老化まで、免疫システムの働きを今回は学園ドラマ化して再現。その奥深い世界を妄想する。

  • S2023E12 “歯” 進化を続ける人体の先兵

    • September 11, 2023
    • NHK

    牙を持つ肉食動物、奥歯で草をすりつぶす草食動物。私たちの進化は「歯」と共にある。実は、歯は脳を育てるセンサー。記憶ネットワークに影響し認知症とも関係することがわかってきた。さらに最近、わずか50年で歯の生えかわり方が変化しているという小児歯科の報告が…。思いがけぬ人類進化が進んでいるかもしれないという。そして最新研究からは、もう1本永久歯が生える“歯生え薬”の夢も!ヒトと歯、驚きの進化を妄想する。

  • S2023E13 “遊び” それは人類の可能性の宝庫

    • September 25, 2023
    • NHK

    「遊び」が専門という研究者がいる。人間とは「遊ぶヒト」=ホモ・ルーデンスなのか。「遊び」から人間らしさの根源を探っているのだ。遊びはヒトが多様な道具を生み出した原動力。またヒトの集団を大きく育てるツールとなってきた。遊びは脳を鍛え、創造性や文化を生み出す。さらには困難な状況を乗り越える力を育くみ、人類の助けになってきたという。オトナこそ学ばねばならない遊びの神髄、その計り知れない可能性を妄想する。

  • S2023E14 “背骨” 複雑精妙な進化の神髄

    • October 9, 2023
    • NHK

    「背骨」は多くの役割を担う。頑丈な支柱として体を支えつつ、無数の筋肉を束ね神経を守る。形や大きさの違う椎骨、椎間板、筋肉の複雑なシステムでしなやかさも生み出すのだ。なかでもヒトの「背骨」は特別だ。地面に対し“横”に進化していたものを“縦”に大転換。ひねりという回転軸まで作り二足歩行を可能にした。しかしその大きな進化は私たちに無視できないマイナス面ももたらしたという。「背骨」からヒトの根源を妄想する

  • S2023E15 “親と子” “ギリギリ”の子育て戦略

    • October 23, 2023
    • NHK

    「親と子」とは何か。多くの動物で千差万別にみえるが、子育て欲求の共通基盤が脳内で発見された。だがこれは育児放棄など生き残りのギリギリの戦略と裏表の関係にあることも判明。子育ての謎はさらに深まっている。そしてヒトは「共同養育」を行う珍しい存在。母親だけではない他者参加型の育児体験によって私たちは、性別によらない「親性脳」を獲得できることもわかってきた。人間らしさの原点でもある子育て。その未来を探る。

  • S2023E16 “体温” 熱して冷ます生存戦略

    • November 6, 2023
    • NHK

    「体温」は生存戦略だという。私たち動物は体を熱して、運動能力を高め神経伝達を活発にし、生存競争を勝ち抜いてきた。その一方、体温を極限まで下げて命を繋ぐ裏技「冬眠」。最新研究では人類も冬眠でピンチを切り抜けた可能性が高いという。さらに体温は老化や寿命と関係することも明らかに。そもそもヒトの深部体温はなぜ37℃なのか?その答えも体温に導かれた体内の化学反応から見えてくる。生命の謎を体温から妄想する。

  • S2023E17 “死の迎え方” ヒトの穏やかな死とは

    • November 20, 2023
    • NHK

    私たちはどのように「死」を迎えてゆくのか。それは本人ばかりか家族も悩む大きな問題だ。多くの人が長寿となり、死の風景も変わってきたという。近年増えてきたのが“老衰”。自宅や施設で見守られて亡くなる人も増えている。穏やかな最期を迎えるとき、肉体で何が起きているのか、その解析も進む。死を見つめる心のケア、家族と過ごす終末期など、対応する医療も変わりつつある。さまざまな現場から「死の迎え方」を考えてゆく。

  • S2023E18 “植物” 支配者は周りを動かす

    • December 10, 2023
    • NHK

    「植物」は、コミュニケーションの達人だ。虫が食んだりヒトが傷つけたり、身に危険が及ぶと、カルシウムイオンの電気信号でリアルタイムに伝え、防衛体制を発動させる。花や実は、他の生き物をあやつる魅力的な器官。土を這う根も多くの化合物を分泌し自らの仲間となる微生物を呼び集める。まんまとその魅力にハマったのが私たちヒト。8000種というポリフェノールなどの化合物も魅惑の物質だ。植物との奥深い関係を妄想する。

  • S2023E19 “土” 生命の星の小宇宙

    • December 25, 2023
    • NHK

    生命あふれる地球の秘密が「土」。火星や金星のような岩と砂の太古の大地に、5億年をかけ生命圏を築き、植物の進化、動物やヒトの生き方も「土」が決めてきた。その豊かさの結実が1000万種以上の微生物が“共に生きる”仕組み。生命のミクロコスモスともいえる土の「団粒構造」。「共生」を達成しようとする微生物の遺伝子戦略。岩石などの無機物と生命の相互作用で、地上に万物を生み出してきた。その未知なるチカラに迫る。

  • S2023E20 “左と右” 生命を左右するミステリー

    • January 8, 2024
    • NHK

    世の中の決まり事や言葉の中にごく自然に溶け込む「左右」。しかしそれは生命が進化を追いかけた、その副産物に過ぎないという。では「左右」は私たちに何をもたらしたのか?弱肉強食を生き抜く自然界には「左右」を駆使する、まさに「生死を左右する」世界が広がっている。さらに人間の左利きと右利きを調べてみると、全世界の傾向はほぼ1対9の比率で右利きが多い。実はここに、人間独自の進化をめぐる一大ミステリーがあった。

  • S2023E21 “記憶” 未来を切り拓く源泉

    • January 22, 2024
    • NHK

    「記憶」の実体が次々と明らかになってきた。いまや記憶は、物理的な痕跡として観察できる神経細胞のネットワーク。さらに記憶をつくるたんぱく質を操作することで記憶の書き換えや消去に成功させた研究者から驚きの言葉が…「記憶の本質は書き換え能力」。同じ体験でも人それぞれ記憶が違っていたり、思い出が美化されていくのも、実はその書き換え能力のおかげ。なぜ私たちは「記憶」を持つのか。記憶のメカニズムの意味に迫る。

  • S2023E22 “口腔細菌” 知られざる運命共同体

    • February 5, 2024
    • NHK

    お口の中に棲みつくのは200種あまりの「口腔細菌」。遺伝子による解析が進み、彼らの生態が明らかになってきた。強固な城を築くモノ、穴を掘って栄養を得るモノ、合コンもあれば、勢力争いも日常茶飯事。さまざまな駆け引きが繰り広げられている。その結果が、虫歯や歯周病、さらには全身疾患に現れる。そんな悪魔とヒトは約5万年前を境に、手を結び、新戦略をとってきた疑惑も浮上してきた。私たちの運命共同体の実像に迫る。

  • S2023E23 “ミトコンドリア” 最も古く 最も大切な友人

    • February 19, 2024
    • NHK

    教科書のイラストでおなじみの細胞小器官「ミトコンドリア」。実は、最新医療の突破口になるかもしれないと注目されている。驚くべきはその多機能性。生と死をつかさどり、病気も老化もミトコンドリアがその根幹に関わることがわかってきたのだ。いまから20億年前に細胞内共生という形で、ほぼすべての生命にすみ着いた数奇な運命、私たちにもたらした恩恵を、主人公ミトコンドリアのドラマとして映像化。その真の姿に迫る。