明教大学漕艇部は都南大学対抗レースに過去六連敗を取返そうと夏休みを返上して主将の西郷を始めとして景山、滝、佃等の部員達は汗を流して練習にはげんでいる。彼等がいこいの一時を過すのが団子屋隅田軒。しかもここには三人娘がいてそれぞれボートマンとは大の仲良し。長女のひさみは浦野の愛妻、次女はるみは滝の恋人、末娘のてるみは佃君と仲良し。しかし彼等の青春にも楽しいことばかりでは無い。景山はバー・アゲインを経営する姉品子の援助で大学に通っているという悩みを持っていた。彼はその悩みをボートと作曲に全心を打ちこむことによって忘れていた。アゲインの女給潤子は彼を愛していた。或る日景山は品子のアパートで、親友滝の父健太郎から姉当ての手紙を見つけ驚いた。それ以来全然練習が手につかなかった。滝の妹洋子は母の死後父や兄を何かにつけ面倒を見ていたが、合宿で一人洗濯する魚住を見て、好意を抱いた。さて景山は自活する決心をして、部に彼が作曲したボートの唄を残して退部した。他の部員達は彼に悪口を浴びせた。その後ジャズ喫茶のアルバイト生活を始めた。景山のことを心配する魚住や佃は銚子遠漕に彼を参加さすべく努力したが、彼は断わり続けた。品子は弟に自分の恋を誤解され、思い余って漕艇部長藤井教授に打明けに出かけた。対抗戦はいよいよ近づいた。景山の穴を新人魚住によって埋めることは難事だった。それでも懸命に練習は続けられた。こうした或る日父親とはるみの関係を知った滝は景山への済まない気持で一杯だった。彼が唄っているジャズ喫茶に突然ボートの歌が轟きわたった。懐かしい声、顔、潤子も品子もいた。彼は全てを理解した。いよいよ対抗戦の当日がやって来た。ゴール目指して必死の力漕が続いた。景山を加えた明教は逆に都南を破った。土手の上には隅田軒の娘達や品子や潤子の笑顔が陽に映えていた。
Name | |
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Shūe Matsubayashi |
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