鬼島平八郎(濵田雅功)は、伊智地方検察庁に勤める44歳の新人検事。さまざまな職を転々としてきた経歴を持ち、家では姉の遺した2人の子供を育てる鬼島は、伊智地検でも異色の存在。エリート検事の森本真紀(内田有紀)や支部長検事の藤波達彦(松重豊)、若手事務官の越中二朗(濱田岳)や若手検事の土方小百合(西山茉希)、定年間際の検事・木戸勉(田山涼成)らに囲まれながらも、決してマイペースを崩さない。 そんな鬼島は、真紀が担当する小さな横領事件の取調べに立ち会うことに。地元の樋村建設の経理課長・三沢輝男(津田寛治)が会社の金500万円を横領した事件だ。あっさりと罪を認めた三沢に対し真紀が起訴を決めようとした矢先、鬼島は自分の判断で処分の保留を決めてしまう。 「あの人、絶対ウソついてますよ」 検事の仕事は起訴すること——そんな「司法の常識」を微塵も気にせず、真実を知ろうとする鬼島は、唖然とする真紀を尻目に、事件の再捜査を開始。三沢の事件を担当した刑事・小石川悟(金山一彦)に補充捜査を依頼した。渋々ながら捜査を開始した小石川がつかんだのは、三沢がギャンブルや酒に大金をつぎ込んでいたという関係者の証言だった。これが三沢の本当の顔なのか? 納得のいかない鬼島は、護送車の中で三沢を問い詰めると、クルマを三沢の自宅に向かわせる。そして、クルマの窓越しに愛娘の姿を見せつけた。 「あなたがあの娘の幸せ創ってあげな、誰ができるんですか」 その言葉に心を動かされた三沢は、木戸検事の取調べで横領は会社の指示だったと自供した。横領した500万円は、樋