天才棋士・彰一(中村獅童)を父に持つ飛鳥(のん)。 母・桂子(奥貫薫)と三人で仲睦まじく暮らしていたが、やがて彰一は「勝利」への執着に囚われ、家族を捨てて家を出て行ってしまう。 それから23年。桂子は病に倒れ、飛鳥は貧困のなかで孤独に生きていた。 そんな彼女の目に映ったのは、将棋界で華々しく活躍する父・彰一の姿。 捨てられた過去、叶わなかった日常、募る憎しみ――。 抑えきれない感情が限界を迎えたとき、飛鳥は衝撃の行動に出る――。
母を失い、飛鳥(のん)はますます孤独な日々を送っていた。そんなある日、飛鳥の勤める職場で窃盗事件が発生。その容疑者として疑いをかけられ、飛鳥は警察に拘束されてしまう。絶望の中、警察署に現れたのは、飛鳥の異母弟・龍也(森愁斗)だった。龍也の口添えによって、飛鳥はある条件のもとで釈放される。だがそれは、龍也が仕掛けた、巧妙な罠だった。
飛鳥(のん)と同じく、彰一(中村獅童)に対して憎しみを抱く元棋士・藤堂(藤木直人)。 共通の因縁を持つ二人は、「将棋で彰一に復讐する」ことを誓い、共に作戦を立てていく。 しかし、彰一と公式に対局するためには、飛鳥自身が「史上初の女性棋士」とならなければならないという高いハードルが立ちはだかる。 まずはアマチュア戦から挑戦することにした飛鳥だったが、20年以上のブランクと未熟さから、結果は惨敗。 そして藤堂の厳しい指導のもと、飛鳥は“谷底”から這い上がるような修行の日々をスタートさせる。
対局中、突然意識を失い、倒れてしまう飛鳥(のん)。 朦朧とする中で飛鳥の耳には「将棋をするな」という謎の声が聞こえた。 飛鳥は将棋に関わるたびに、周りの誰かが不幸になってしまうように感じてしまう。 そんな飛鳥の様子を見ていた藤堂(藤木直人)は「俺を、これ以上不幸にできるのか?」と投げかけ、飛鳥を見放してしまう。 藤堂もまた、将棋によって深い悲しみを抱える過去を持っていた――。
若手登竜門の新人リーグに挑む飛鳥(のん)。 その舞台には、女流棋士・由奈(鳴海唯)の姿もあった。 由奈は、龍也(森愁斗)との結婚を機に、香(山口紗弥加)から女流棋士を辞めるよう諭されていた。 この大会が、由奈にとって現役最後の勝負となる。 リーグ期間中、飛鳥は由奈に誘われ、ともに食事をすることに。 そこで語られたのは、女性が棋士を目指すことの過酷さと重み、そして由奈が抱えてきた葛藤だったーー。