――激しいスコールが夜道を叩きつけるように降り続けていた。車の助手席には“203”と刻まれた鍵を握るサクラ(莉子)。その刹那、衝撃音とともにヘッドライトに照らし出された運転席にいたのは…。 瑛太(吉澤要人)と夜のシンガポールで二人きりの時間を過ごしていたサクラは、4年前の記憶が交錯する中で意識を失ってしまう。脳裏によみがえったのは、記憶の片隅に残るルン(グレン・ヨン)のかすかな面影だった。 翌日、目を覚ましたサクラの手元には、昨日ルンが忘れていったスケッチブック。サクラはそれを手に、シウファン(エイミー・ジェイ・チェン)のカフェへと向かう。 一方、ルンはアトリエで一人の女性を描き始めていた。キャンバスに浮かび上がるのは――サクラの顔。そしてアトリエには、あの“203”の鍵も…。マネージャーとしてルンを支えてきたレイ(レジーナ・リム)は、個展の準備の最中にその絵を目にして言葉を失う。言葉を濁すレイを後にして、やがてルンは“203”の鍵を手におもむろに出かけていく。 同じ頃、カトン地区の再開発に向けてリサーチを続ける瑛太もまた、資料の中の“203”と書かれた建物に目を留めていた。同僚の夏芽(富田鈴花)と事前調査を進める中、所有者に連絡を取る瑛太。その所有者こそ、ルンのマネージャー・レイだった――。そして瑛太もまた、“203”へと向かう。 その頃サクラは、「4年前、ここに来ていた」という、記憶と呼ぶにはあまりにもあやふやな断片を頼りに、ルンと出会ったカフェにいた。「知らないほうがいいこともある」――そう言葉を投げかけながらも、シウファンは“203”がカフェの裏にある古い建物であることを告げる。 そこは、4年前にルンが暮らしていたアトリエ。しかし、ルンもまた4年前の記憶を失くしていた。 一本の鍵が導く場所“203”に、引き寄せられていく人々。4年前の記憶を持たないサクラとルンは、この日、“203”で“不思議な再会”を果たす。