平治元年(1159年)12月。平治の乱で源氏軍が平家に破れ、源義朝(加藤雅也)の愛妾(しょう)・常盤(稲森いずみ)は、乳飲み子の牛若(のちの義経)と幼子らを抱えて都を逃れ雪の中をさまよい歩いていた。母が平家に捕らえられたことを知る常盤は、自分の命と引きかえに、母と子らの助命を求めて平清盛(渡哲也)のもとへ出頭する。清盛は、先に捕らえた源氏の嫡男・源頼朝(池松壮亮)の命とともに思案する。
平清盛(渡哲也)に助けられ、母・常盤(稲森いずみ)と京に住んでいる牛若(神木隆之介)は、平家の子どもたちと兄弟のように楽しいひとときを過ごす。清盛が常盤の所に通っていると知った時子(松坂慶子)は、ひそかに常盤を呼び出し、妊娠を知る。一方の清盛は、大切なびょうぶに落書きされているのを見て、それが牛若の仕業と知るが、しからず自ら落書きに加筆し「新しき国」の夢を牛若に語る。
平家への出入りを禁じられた牛若(神木隆之介)は、常盤(稲森いずみ)から、鞍馬寺へ入るように告げられる。突然のことに反抗する牛若だったが、寺の覚日律師(塩見三省)や陰陽師の鬼一法眼(美輪明宏)と出会い、次第に荒れた心を落ち着かせる。やがて牛若は、遮那王(しゃなおう)という新しい名を覚日律師からもらう。そんなとき、寺を訪れた新宮十郎義盛(大杉漣)に、己の隠された驚がくの出自を知らされる。
父親同然に思っていた平清盛(渡哲也)が、本当の父を討った敵であると知った遮那王(のちの義経・滝沢秀明)は、そのめかけとなっていた母・常盤(稲森いずみ)の心中を思い、もんもんとした日々を過ごしていた。やがて遮那王は、自分の気を静めるため、陰陽師の鬼一法眼(美輪明宏)に「弟子にしてほしい」と頼む。一方、都では、寺同士の抗争に巻き込まれた弁慶(松平健)が、平家に対して刀狩りを行っていた。
らく中から帰る途中の五条大橋で、遮那王(滝沢秀明)は平家と間違われ、弁慶(松平健)に闘いを挑まれる。別の日、鞍馬寺に訪れた幼なじみのうつぼ(上戸彩)を都に送るなか、遮那王は平家の武者に追われ、白拍子の静(石原さとみ)に救われる。一方、平家では「髭(ひげ)切りの太刀」が偽物と判明、うその証言をした頼朝に対する清盛(渡哲也)の怒りが爆発する。その弟である遮那王に平家方の手が迫っていた。
いつまでも出家せず、たびたび都に降りてくる遮那王(滝沢秀明)に、平家の警戒は強まっていた。周囲に迷惑をかけると知った遮那王は、自分の行く末について悩み始める。一方、伊豆では遮那王の兄・源頼朝(中井貴一)が、恋人・亀の前(松嶋尚美)とともに、安穏とした日々を過ごしていた。偶然頼朝と出会い、行く手を邪魔された北条政子(財前直見)は、父・北条時政(小林稔侍)に頼朝を殺してくれと迫る。
源頼朝(中井貴一)を思い、いつになく元気のない北条政子(財前直見)の様子に、父・時政(小林稔侍)が気をもんでいた。一方、遮那王(滝沢秀明)は、金売り吉次(市川左團次)から、奥州・平泉の都の魅力を聞かされる。父のように思っていた平清盛(渡哲也)と自分との間にある隔たりを悟った遮那王は、奥州行きを決意する。そんな遮那王の前に、再び弁慶(松平健)が現れ、家来にしてほしいと頼み込む。
京を去り、奥州へ行くことを決意した遮那王(滝沢秀明)は、金売り吉次(市川左團次)にその旨を伝え、準備を始める。平家からの圧力で出家を迫られ、一刻の猶予もなくなってきた遮那王は、その前に今一度、清盛(渡哲也)に会いたいと、お徳(白石加代子)のもとを訪ねる。お徳の働きによって無事、清盛と再会を果たした遮那王は、母・常盤(稲森いずみ)に別れを告げるため、一条長成(蛭子能収)の屋敷へ向かう。
ひそかに鞍馬山を降りた遮那王(滝沢秀明)は、吉次(市川左團次)らとともに一路奥州を目指す。その途中、山賊に襲われるが、追ってきた弁慶(松平健)によって無事に難を逃れる。そして遮那王の素性を知った山賊のひとり、伊勢三郎(南原清隆)に、家来にしてくれとつきまとわれる。やがて尾張の国で元服し「源九郎義経」となった遮那王は、駿河次郎(うじきつよし)の船に乗り込み、海で奥州を目指す。
義経(滝沢秀明)一行は、奥州平泉で藤原秀衡(高橋英樹)らに迎えられる。義経と弁慶(松平健)ら主従の様子を見守っていた秀衡は、しだいに義経を信頼し名馬を贈る。そして自ら平泉を案内し、領主としての哲学を語る。義経はそんな秀衡に亡き父の姿を重ねる。京から追って来たうつぼ(上戸彩)や家来たちとともに穏やかに暮らす義経。そんな中、秀衡の息子・泰衡(渡辺いっけい)が、狩りの途中で行方不明に…。
藤原泰衡(渡辺いっけい)を助け出した義経(滝沢秀明)の武勇伝は平泉に広まり、義経に嫁取りの話が舞い込む。一方、京では鹿ヶ谷で平家討伐の密議が行われていたことが発覚。それに加わったとされる後白河法皇(平幹二朗)と清盛(渡哲也)との間に微妙な距離が生まれていた。帝(みかど)の子を身ごもった徳子(中越典子)を六波羅に迎えた時子(松坂慶子)は、領子(かとうかずこ)にある決意を打ち明ける。
越後へ長旅に出ていた義経は、女武者・巴(小池栄子)に追われて逃げる木曽義仲(小澤征悦)と出会う。京では徳子(中越典子)が無事に皇子を出産。平家は、栄華を極めるその一方で、清盛(渡哲也)の最も信頼していた嫡男・重盛(勝村政信)の死という重大な局面を迎える。自分に代わり夜叉(やしゃ)となってくれた重盛の思いを受けた清盛は、これから自らが夜叉となることを決意し、その態度を一変させる。
宗盛(鶴見辰吾)に息子が侮辱され、怒った源頼政(丹波哲郎)は平家を見限り、兵を挙げる決意をする。頼政により、平家追討の以仁王の令旨(りょうじ)を託された源行家(大杉漣)は、頼朝(中井貴一)、義仲(小澤征悦)を周って源氏の決起を促すが、すぐ平家に知られる。一方、令旨の情報を知った秀衡(高橋英樹)は、義経(滝沢秀明)を呼び寄せ「一度は父と思った清盛に刃を向けることができるのか」と問う。
戦闘の末、源頼政(丹波哲郎)の謀反を制圧した清盛(渡哲也)は、周囲の反対を押し切り、急きょ、福原に都を移す。その福原で行われた菊見の宴(うたげ)に義経(滝沢秀明)の妹・能子(後藤真希)の姿もあった。一方、伊豆で挙兵した頼朝(中井貴一)は、石橋山で敗退。敵方の梶原景時(中尾彬)に助けられる。頼朝敗退の知らせを受けた義経は、兄のもとに行こうと、藤原秀衡(高橋英樹)に挙兵の許しを請う。
家来を伴って黄瀬川に参上し、念願の兄・頼朝(中井貴一)との対面を果たした義経(滝沢秀明)。だが、最初に命じられた任務は、富士川を隔てた平家陣の見張り役だった。突然飛び立った水鳥の羽音に恐れをなして逃げ帰った平家軍の陣の跡で、義経は、足をけがして動けなくなった静(石原さとみ)と再会する。鎌倉へ静を連れ帰った義経は、頼朝に「かつては清盛を父と思っていたのではないか」とその心中を聞かれる。
福原遷都で、荒れ果てた京を嘆く後白河法皇(平幹二朗)に懇願され、平宗盛(鶴見辰吾)は清盛(渡哲也)に都帰りを進言。一方鎌倉では、頼朝(中井貴一)と亀の前(松嶋尚美)の関係を知った政子(財前直見)が、嫉妬(しっと)に打ち震えていた。男と女の激情にふれた義経(滝沢秀明)と静(石原さとみ)は、互いの気持を確認し結ばれる。そんな折、政子と北条時政(小林稔侍)が、義経を退けるよう頼朝に進言する。
海に落ちた弁慶(松平健)は、千鳥(中島知子)に助けられ、偶然にもその裸を見てしまう。日ごろからカタブツで、女に不器用な弁慶の初めての恋を、ほほえましく見守る義経(滝沢秀明)と静(石原さとみ)たち。そんな平穏もつかの間、義経は政子(財前直見)から嫁取りの話を打診される。一方、京では、清盛(渡哲也)の命を受けた平重衡(細川茂樹)が奈良の大仏を焼き、平家に対する反感が強まっていた。
鎌倉での義経(滝沢秀明)の暮らしは肩身の狭いものだった。一方、京に戻った清盛(渡哲也)は、ついえた福原の夢を抱きながら失意の日々。そんな折、清盛は突然の高熱で倒れてしまう。時子(松坂慶子)たちの必死の看病や祈祷(とう)のかいもなく、清盛は息を引き取る。その訃(ふ)報を頼朝(中井貴一)と政子(財前直見)から受けた義経は、平家に対する心底の疑惑を振り払うよう毅然(きぜん)と答えるが…。
五足(北村有起哉)の死の知らせを受けた義経(滝沢秀明)は、たび重なる親しい人物の死に動揺を隠せない。ある日義経は、頼朝(中井貴一)からもう一人の兄・範頼(石原良純)を紹介される。柔和な人柄に家族の温かみを感じる義経だったが、そんな折、家臣の佐藤継信(宮内敦士)と忠信(海東健)が突然、暇をとらせてほしいと申し出る。2人に疑惑が掛けられていることを知った義経は、頼朝のところへ向かう。
平家の大軍が都を発(た)ったという知らせを受けた頼朝(中井貴一)の周辺は、身内である源氏の動向も含め、慌ただしく動き始める。だが一向に義経(滝沢秀明)に対する出陣の要請はなく、いつまでも活躍の場が与えられないことに弁慶(松平健)たちは苛立(いらだ)っていた。そんななか、木曽義仲(小澤征悦)の息子・義高(富岡涼)を大姫(野口真緒)の婿として鎌倉に連れ帰ってきた頼朝は、義経に…。
頼朝(中井貴一)から、情や絆(きずな)ではなく道理や力で家臣たちを統制するという「新しき国」づくりの理念を聞いた義経(滝沢秀明)は、それがかつて、清盛(渡哲也)が語ったものとは全く別のもののように感じ、自分にとっての「新しき国」は何なのかと迷いはじめる。一方、倶利伽羅峠の戦いを経て、都に攻め上ろうとする木曽義仲(小澤征悦)の動きを知った頼朝は、義経に先陣として京へ向えと言い渡す。
倶利伽羅峠の戦で平家に圧勝した木曽義仲(小澤征悦)は、敗走する平維盛(賀集利樹)に追い打ちをかける。そんな折、維盛の母・経子(森口瑤子)が時子(松坂慶子)を訪ね、敗走中の維盛が盗賊に手放した平家嫡流の鎧(よろい)を買い戻したいと、借金を申し出る。一方、義仲軍の進軍を知った義経(滝沢秀明)は、鎌倉の軍勢が迫っているという嘘(うそ)のうわさを流させ、兵を引かせようと画策するが…。
うつぼ(上戸彩)から、平家が都落ちすると聞いた義経(滝沢秀明)は、自ら都に偵察に行きたいと言いだす。平家の都落ち後、都入りを果たし、後白河法皇(平幹二朗)に謁見(えっけん)した木曽義仲(小澤征悦)は、巴(小池栄子)とともに都の派手な生活におぼれ、兵士の統制をとれずにいた。らく中で木曽の兵士の乱暴を目の当たりにした義経は、いとことして義仲をいさめようと、単身、義仲に会いに行くが…。
木曽義仲(小澤征悦)と失意の対面となった義経(滝沢秀明)。その帰り道、何者かに襲われてしまう。朝廷内では、義仲に対する不満が爆発。後白河法皇(平幹二朗)は、源行家(大杉漣)を取り立てることで義仲をけん制しようと画策する。このままでは義仲が立ち行かなくなると知った義経は、再度、義仲に会おうとするが、後白河法皇の裏切りを知った義仲は、法住寺殿を襲撃。ついに義経も義仲追討へと動き出す。
義仲追討の初陣を飾った義経(滝沢秀明)は、弁慶(松平健)ら郎党の活躍で、無事、後白河法皇(平幹二朗)を助け出す。法皇から院の御所の警固を任され、都に落ち着いた義経は、久しぶりにお徳(白石加代子)やうつぼ(上戸彩)とも再会し、心穏やかな日々を送る。金売り吉次(市川左團次)の計らいで常盤(稲森いずみ)とも再会を果たすが、常盤は再び、義経に「2度と会いに来ないように」と伝えるのだった。
木曽義仲(小澤征悦)の首が、獄門にかけられるという知らせを受けた義経(滝沢秀明)は、思わずその処分に反対し、源範頼(石原良純)や梶原景時(中尾彬)にいさめられる。そんなある日、静(石原さとみ)が現れる。再会を喜ぶ義経だったが、平穏な日々もつかの間、いよいよ平家との決戦に向けての動きが活発化する。後白河法皇(平幹二朗)より平家追討の院宣が下り、義経たちは一ノ谷へ向けて出陣する。
平家追討へと出陣した義経(滝沢秀明)。しかし平家が陣を構えた一の谷は、そそり立つ断がい絶壁に守られた天然の要害。伊勢三郎(南原清隆)らが偵察から連れ帰った土地の漁師・鷲尾三郎(長谷川朝晴)の案内で、自ら偵察した義経は、まともに挑んでは勝てないと判断、平家の兵力を分散させるべくある戦略を考える。一方、平宗盛(鶴見辰吾)のもとには、後白河法皇(平幹二朗)からある書状が届いていた。
一の谷で勝利をおさめ、京に凱旋(がいせん)した義経(滝沢秀明)は、鎌倉へ送られることになった平重衡(細川茂樹)の護送役を買って出る。鎌倉に着いた義経は、頼朝(中井貴一)をはじめ、大姫(野口真緒)や義高(富岡涼)と再会。弁慶(松平健)も千鳥(中島知子)と楽しいひとときを過ごすが、義高が脱走を試みたことで事態は一変。義経は捕らえられた義高の命を救おうと、必死に頼朝にかけあおうとする。
一の谷の戦いで目覚ましい功績を収めた義経(滝沢秀明)だったが、いまだ頼朝(中井貴一)から恩賞を受けることなく日々が過ぎていた。そんな折、義経は法皇(平幹二朗)から直接、検非違使(けびいし)に任官される。それを知った頼朝は激怒。義経を出陣から外し、鎌倉から妻を送りつける。頼朝の真意がわからず困惑する義経だったが、そんな義経のもとに病の体をおして母・常磐(稲森いずみ)が現れる。
平家追討軍から外され京に残った義経(滝沢秀明)は、横行する夜盗の取り締まりを命じられる。朱雀の翁(おきな/役:梅津栄)の力を借り、無事に夜盗を収める義経。このことに喜んだ後白河法皇(平幹二朗)が、頼朝(中井貴一)の承諾も得ないまま義経のさらなる昇格を決めたため、頼朝と義経の溝はさらに深まる。そんな中、頼朝は源範頼(石原良純)の苦戦の知らせを受ける。そしてついに、義経に出陣の命が下る。
ついに平家追討の総大将を命じられた義経(滝沢秀明)。勇み立つ義経を弁慶(松平健)ら郎党は喜ぶが、義経を戦に送り出す静(石原さとみ)の心中は複雑だった。一方、義経が屋島に向っていると知った平家は、義経の妹・能子(後藤真希)が義経と通じているのではないかと疑いをかける。摂津で梶原景時(中尾彬)と合流した義経は、その戦略をめぐり景時と対立。義経は景時の反対を押し切り、嵐の中の船出を決意する。
嵐の航海を乗り越え、屋島にたどり着いた義経(滝沢秀明)。平家を追いつめる一方、敵方にいる妹・能子(後藤真希)の安否を気遣っていた。そんな折、海上の平家の小舟に女が現れ、扇をつけた竿(さお)をへさきに立てた。扇を矢で射落とせるかどうかという平家からの挑発だと知った義経は、扇のついた竿を支え持つ女が妹の能子であることを知らないまま、弓の名手・那須与一(今井翼)に扇を射落とすよう命じる。
平家との船戦を覚悟した義経(滝沢秀明)に、弁慶(松平健)は、水軍を持つ熊野湛増(原田芳雄)を味方につけるため、自ら直談判しに行くことを申し出る。熊野へ到着した弁慶は、力づくで湛増に面会して必死に説き伏せるが、湛増は応じない。それでも恩ある漁師の娘・千鳥(中島知子)の婿が弁慶だと知り、湛増は迷い始める。弁慶は自らの命をかけ、湛増に、闘鶏の勝敗で味方につくかどうかを決めることを提案する。
周囲の水軍を味方につけながら、平家のいる長門へ船を進めていた義経(滝沢秀明)は、人知れず平家軍にいる妹・能子(後藤真希)の安否を気遣い、悩みを募らせていた。一方、船戦に自信を見せる平家の中でひとり戦の行く末に不安を覚えていた時子(松坂慶子)は、ある計略を考え始める。決戦の日が近づいたある日、心中を察した弁慶(松平健)に促された義経は、能子へ、戦いに巻き込まれないよう手紙を書くのだが…。
壇ノ浦での平家との決戦を控えた義経(滝沢秀明)は、駿河次郎(うじきつよし)に潮の流れを確認させ、その戦略を練っていた。手柄を立てたい梶原景時(中尾彬)は義経に先陣を申し出るが、義経は三浦水軍に先陣を命じ、景時の反感を買う。一方平家では、みかどの秘密を知った能子(後藤真希)に対し時子(松坂慶子)が船を降りるよう伝えていた。やがてついに義経は、壇ノ浦で平家との運命的な決戦のときを迎える。
壇ノ浦で、ついに平家を討ち滅ぼした義経(滝沢秀明)。しかし、戦いを終えた義経の胸中には、ただむなしさだけが漂っていた。義経は、再会したお徳(白石加代子)と共に亡き清盛(渡哲也)をしのび、平家一族の栄枯盛衰を顧みる。そんな中、義経は佐藤忠信(海東健)からの報告で、助かった平家一族の中に能子(後藤真希)がいることを知る。能子と再会した義経は、「京で一緒に暮らそう」と能子に提案するが…。
壇ノ浦での功績を後白河法皇(平幹二朗)から褒められ、喜ぶ義経(滝沢秀明)。しかし鎌倉では、義経の功績を評価する一方、その前年、頼朝(中井貴一)の許可なく官位を受けたことが問題視されていた。その後、頼朝は、義経が朝廷に神器を返還したことを知って激怒する。兄の怒りが理解できずに悩む義経だったが、そんな折、壇ノ浦の合戦以来気がかりなあることを確かめるべく、徳子(中越典子)のもとを訪れる。
徳子(中越典子)を見舞った義経(滝沢秀明)の行動は、梶原景時(中尾彬)から「敵方に好意的すぎる」と批判を浴びる。お徳(白石加代子)から、景時が頼朝(中井貴一)へ提出した報告書の内容を知らされた義経は、鎌倉へ行き、直接頼朝の誤解を解きたいと強く思い始める。そんな中、義経は後白河法皇(平幹二朗)から平宗盛(鶴見辰吾)の護送役を相談され、自らその役を志願。郎党らと共に鎌倉へ出発するのだが…。
頼朝(中井貴一)から鎌倉に入ることを許されず、腰越に留められた義経(滝沢秀明)。弁慶(松平健)ら郎党たちも日々不満を募らせていた。政子(財前直見)は、病の大姫(野口真緒)を義経に会わせるため、ひそかに鎌倉に入れようと画策する。そんな政子の申し出を断り、頼朝を信じ続ける義経にしびれを切らした弁慶は、情を捨てて現実を見るよう進言。義経は自分の思いを伝えるため、頼朝に書状を送ることを決意する。
頼朝(中井貴一)への思いを手紙にしたため、鎌倉へ送った義経(滝沢秀明)。しかし頼朝からの返事はなく、弁慶(松平健)ら郎党たちも日々いらだちを募らせる。一度は義経からの書状を読まないと公言した頼朝だったが、書状を受け取っていた大江広元(松尾貴史)から「自分一人では抱えきれない」とひそかに書状を渡されてしまう。ついに義経からの書状を手にした頼朝は、その書状を読むかどうか深く悩み始める。
頼朝(中井貴一)との対面を果たせず、平宗盛(鶴見辰吾)親子を伴い京へ帰ることとなった義経(滝沢秀明)の胸中には、頼朝の仕打ちに対する疑念が芽生え始めていた。一方、南都への護送中に僧兵に捕らえらえた平重衡(細川茂樹)は、かつての東大寺・興福寺焼き討ちの罪を問われ、処刑されることになる。重衡を捜し求めていた妻・輔子(戸田菜穂)は、処刑直前の重衡と会い、最期の別れを惜しむ。
度重なる頼朝(中井貴一)からの仕打ちに、失意のまま都に戻った義経(滝沢秀明)を後白河法皇(平幹二朗)はあたたかく迎え入れる。もはや頼朝との関係改善が困難と悟った義経は、頼朝と争うのではなく頼朝とは別の道を歩むことを決意する。所領を頼朝に奪われた義経に、法皇が独断で伊予守に任命。そのことを知った頼朝は、義経が法皇に取り込まれることを恐れ、様子を探るべく梶原景時(中尾彬)を京へ派遣する。
義経(滝沢秀明)たちが住む堀川の屋敷周辺に、不審な人物が出没していた。弁慶(松平健)は、その人物の一人が鎌倉での知り合いの武者・土佐坊昌俊(六平直政)だと知る。土佐坊が宿する寺に出向く弁慶。面会し様子がおかしいとにらみ、郎党たちと力を合わせて事態を収めようとする。ある夜、土佐坊の一味は義経を襲撃。あえなく一味は取り押さえられるが、背後で土佐坊を操っていた人物を知った義経は…。
都を去る決意をした義経(滝沢秀明)に、後白河法皇(平幹二朗)は西国行きを命じる。静(石原さとみ)や郎党らと新しき国を築こうと船出する義経。だが大嵐を伴って現れた平知盛(阿部寛)の亡霊に襲われ、弁慶(松平健)の懸命の読経もむなしく船は転覆。はぐれた郎党を捜すうち、義経は自らの追討の院宣が出たと知る。法皇に真意を確かめようとする義経の前に鬼一法眼(美輪明宏)が現れ「都へは近づくな」と告げる。
義経(滝沢秀明)と別れ、吉野山を下る静(石原さとみ)が途中で捕らわれる。一方、頼朝(中井貴一)の強硬な政策に危機感を抱いた後白河法皇(平幹二朗)は、義経をかくまうよう諸国の寺社に伝える。熊野でそれを知った義経は、法皇が自分を見捨てていないと確信、苦難の末、再び京へ向かう。しかし鎌倉方の探索は厳しさを増し、北条時政(小林稔侍)は静を詰問する一方、行家(大杉漣)を捕らえ斬(ざん)首する。
平泉行きを決めた義経(滝沢秀明)だが、静(石原さとみ)のことをあきらめきれない。静が鎌倉に送られる道中で救い出そうと思いを巡らす。護送の日、義経主従も京を立つ。静の輿(こし)が空だと気づいた義経は、すべてがわなだったと知る。その瞬間、行方不明だった佐藤忠信(海東健)が現れ護送の列に斬(き)りこむ。すでに鎌倉では、頼朝(中井貴一)じきじきに静へのせん議が行われていた。静は身ごもっていた。
平泉を目指す義経(滝沢秀明)主従は、追捕の目をくぐり加賀国へ。きこりに宿を借りた義経は、その妻・巴(小池栄子)と再会。母となった巴は、生きていてよかったと義経に感謝し、決してあきらめるなと励ます。翌日、安宅の関に向かった一行は、関守の富樫(石橋蓮司)に呼び止められる。先を急ぐ一行を不審に思った富樫は、東大寺大仏殿再建の勧進をしているという弁慶(松平健)に、勧進帳を見せろと迫る。
ついに平泉へ到着した義経(滝沢秀明)主従を、藤原秀衡(高橋英樹)は温かく迎える。吉次(市川左團次)から静(石原さとみ)の出産を知らされた義経は、生まれた男児が既に殺されたと察し悲しみを新たにする。一方、義経が平泉にいるとにらんだ頼朝(中井貴一)は、秀衡に圧力をかけ義経を差し出すよう迫るが、秀衡は一切動じない。だが、秀衡は泰衡(渡辺いっけい)の四代目継承を宣言した宴(うたげ)の席で…。
頼朝(中井貴一)との決戦に備える義経(滝沢秀明)たちだが、藤原泰衡(渡辺いっけい)は一向に戦う決心がつかない。頼朝の度重なる圧力に屈した泰衡は、ついに義経を討つことを決意し、弟たちと決裂する。義経と弁慶(松平健)ら郎党は怯(ひる)むことなく、主従の絆(きずな)の強さを胸に「新しき国」を目指す最後の戦に臨む。