――くやしくって死にそう。 黄前久美子は中学3年の吹奏楽コンクールで見た高坂麗奈の涙を忘れられないままでいた。 高校に進学した久美子は加藤葉月、川島緑輝に誘われて吹奏楽部に入部するが、 肝心な吹奏楽部の演奏はお世辞にも上手とは言えなくて……。 しかし、吹奏楽部に新しい顧問・滝昇がやって来たことによって状況は一変する。 滝のスパルタ指導に反発しつつも、少しずつ上手くなっていく様子に自信を持つ部員たち。 久美子も少しずつではあるが、麗奈との距離を縮めていった。 サンライズフェスティバル、コンクールメンバーを決めるオーディション……。 数々の試練を乗り越えた吹奏楽部は吹奏楽コンクール京都府大会に臨む――。 そして、次の曲が始まるのです!
鎧塚みぞれ 高校3年生 オーボエ担当。 傘木希美 高校3年生 フルート担当。 希美と過ごす毎日が幸せなみぞれと、一度退部をしたが再び戻ってきた希美。 中学時代、ひとりぼっちだったみぞれに希美が声を掛けたときから、みぞれにとって希美は世界そのものだった。 みぞれは、いつかまた希美が自分の前から消えてしまうのではないか、という不安を拭えずにいた。 そして、二人で出る最後のコンクール。 自由曲は「リズと青い鳥」。 童話をもとに作られたこの曲にはオーボエとフルートが掛け合うソロがあった。 「物語はハッピーエンドがいいよ」 屈託なくそう話す希美と、いつか別れがくることを恐れ続けるみぞれ。 ――ずっとずっと、そばにいて―― 童話の物語に自分たちを重ねながら、日々を過ごしていく二人。 みぞれがリズで、希美が青い鳥。 でも……。 どこか噛み合わない歯車は、噛み合う一瞬を求め、まわり続ける。