7月22日は朝から強い雨が降っていたが、ウートオイヤ島の労働党青年部の集会は、ブルントラント元首相を迎えるとあって興奮に包まれていた。カメラはブルントラントが、国の将来を担う若者たちと懇談し、マスコミに「彼らは頼もしい限りだ」と語る姿を捉えている。 その頃、島から程近いオスロの政府庁舎ビル前で爆発が起きた。居合わせたカメラマンが撮影した映像や、付近の商店の防犯ビデオの映像が、爆発の大きさを物語る。 爆発の知らせはウートオイヤ島にも届いたが、若者たちは警察官に扮したテロリストが船で島に渡ろうとしていることを知る由もなかった。島に上陸した男は集会に集まっていた人々を呼び集めると、いきなり銃を乱射。若者たちは散り散りに逃げ出した。中には夢中で海に飛び込み難を逃れた人もいた。レベッカもそうした一人。振り向くと犯人が水際に立ち、泳いで逃げようとする人々を撃ち始めたという。 怪我をした友人を助けながら建物の中に逃げ込んだフリーダ。建物に銃弾が撃ち込まれたときには思わず泣き叫んだ。男は逮捕されるまでの1時間あまりの間、ほぼ1分に一人の割合で撃ち殺していった。 ノルウェー全体が悲しみに沈む中、ブレイビーク容疑者の取調べが始まった。容疑者は「ノルウェー及び西欧をイスラム勢力から守るための行為であり、国を裏切った労働党に最大限のダメージを与えたかった」と語り、反省や悔恨の気持ちは示さなかった。 一方、追悼集会でストルテンベルグ首相や労働党青年組織のペダーセン代表は、憎しみに陥ることなく、国民が力を合わせてこの困難を乗り越えようと呼びか