西郷従道にとって16歳上の兄隆盛は、新時代を切り開いた英雄であり、死別した両親に代わり育ててくれた父親のような存在だった。隆盛とともに戊辰戦争を戦った従道は、明治に入り、最先端の軍事情勢を視察するため欧米に留学して頭角を現し、陸軍の首脳に列せられていく。そうしたなかで迎えた明治10年の西南戦争。隆盛らの挙兵に全国の不平士族が呼応しかねない一大事。「賊軍の将」の弟従道は、選択を迫られる。