今から、ちょうど100年前、関東大震災が東京を襲う。「美人画」で知られる画家・竹久夢二は、廃墟と化した東京の街を歩き回り、「震災スケッチ」を残した。 夢二の「震災スケッチ」は、スケッチにとどまらず、自ら見聞きした光景を文章にしたため、新聞に連載した。それは、大災害に巻き込まれた人々の恐怖・悲嘆、そのあとにくる退廃を克明に描きだしている。さらに、関東大震災は、夢二の人生にも、大きな転機となった。美人画に限界を感じていた夢二は、新たに、くらしに密着した美術研究所の設立を模索する。「震災スケッチ」を手掛かりに、夢二が追い求めた世界を探る。