新天地・別府にやってきた蝶子(尾野真千子)と柳吉(森山未來)は、小さな化粧品問屋『大阪屋』を開店する。二人で行ったダンスホール。柳吉と踊る蝶子は、いつか別府の中心流川通りに大商店を開き「日本一の夫婦になる」と夢を抱く。行商にも精を出し、新たなお客獲得に乗り出す。柳吉も自分で香水の開発など始める。近くで貸席『玉初』を営む(松田美由紀)と蝶子はすぐに打ち解けて仲良くなり、放蕩癖の柳吉の監視を女将に頼む。
ようやく貯金もたまり、店を大きくできるとなった時、おきん(麻生祐未)から手紙が届く。かつての同僚金八(佐藤江梨子)が、ヤトナになると訪ねてきたという。手紙には、金八の夫の商売が傾き、一から出直しと綴られていた。思えば、金八の援助で始めたカフェーをたたみ別府に出てきた。蝶子は、貯まったお金は金八に送り、再び振り出しに戻る。
世の中に戦争の足音が忍び寄り、弟の信一(久野雅弘)が出征することになったが、肋膜を患い帰郷を命じられる。弟を不憫に思う蝶子は、別府に弟を呼び寄せる。贅沢三昧歓迎する蝶子に対して、柳吉は終始不機嫌で、弟にやさしい言葉のひとつもかけない。商売も傾き、柳吉の中には行き場の無い虚しさが渦巻いていた。そんなとき、大阪では、柳吉の娘文子(青山美郷)が、小説を書く学生の鈴木恭太郎(榎田貴斗)と出会い恋に落ちる。戦争による物不足で商売の先行きに不安を抱えた桐介(大東駿介)は、文子に良家から婿養子を迎えると決める。ある夜、望まぬ相手との結婚を拒む文子は、恭太郎と駆け落ちする。