昭和35年、12月12日早朝。東京・蒲田駅構内の操車場で初老男性の他殺体が発見される。顔は潰され判別できないほどであったが、死因は殴殺ではなく扼殺と判明。首を絞められ、死後に顔を潰されたものと推定された。
捜査本部が聞き込みを始めると、すぐに怪しい男の目撃情報が浮上する。蒲田駅付近のバーで事件前日の夜、男二人連れの客があり、そのうちの一人が被害者の風貌と一致したのだ。また、被害者が東北弁らしき言葉を使っていたことと、『カメダは相変わらずですか』と犯人らしき男が言っていたことの2点が重大な証言となり、「カメダ」を軸に大規模な捜査が始まる。
捜査本部の一員に加わった西蒲田署の吉村弘刑事(玉木宏)は、恋人で新聞記者の山下洋子(中谷美紀)から、東北なまりと「カメダ」を結ぶと秋田県にある「羽後亀田」という地名にたどり着けると助言される。さっそく秋田に向かった吉村と捜査一課刑事の今西栄太郎(小林薫)は、事件発生から数日の間に不審な男が出没したとの情報を得る。しかし、事件につながる手がかりはなく、吉村の記憶に唯一刻まれたのは、駅で偶然出会った新進気鋭の作曲家、和賀英良(佐々木蔵之介)の姿と、彼が所属するヌーボー・グループなる前衛的な若い文化人の会の存在であった。
捜査は進展のないまま一カ月が過ぎ、捜査本部は解散を余儀なくされる。しかし、さらにその一カ月後、事件は急展開を迎える。洋子が書いた記事がきっかけとなり、被害者の息子が名乗り出てきたのだ。
被害者は、岡山の雑貨商、三木謙一(橋爪功)。三木は数カ月前、念願の伊勢参りに旅立