真冬の仕込み、蔵は冷蔵庫にて、手足はほとんど他人のものなり。 鉄のスコップ鳴りひびき、蒸し米は湯気をあげて舞台のスポットライトの如し。 誰も給金少なく、腰も痛く、夢も薄し。 されど「酒だけは熱くあれ」と、 空を睨みつけ、まるで天まで湯気を届かせんと、 若き衆ら黙々と米をかき回し続けたり。