麹室は狭く、温く、妙に人肌めきたる場所なり。 六十度を保つとやらで、温度計と二人きりの夜も多し。 そこへ、あの見習いふたたび現れ、 「姐さん、この温度がいちばん気持ちよき候」と悪びれず申す。 禁断の恋など芝居じみた言葉なれど、 気づけば二人とも、米より先に蒸されておりけり。