はるか遠い異世界――世界を救うため、「災厄潰し」と呼ばれる英雄シャグルアは希代の死霊使い(ネクロマンサー)「屍神殿」に立ち向かう。 熾烈な戦いの末にシャグルアが屍神殿を打倒したかに見えたその時、魔術が発動し周囲は光に包まれる。 その瞬間、魂は遠い異世界へ転移し現代の新宿で「四乃山ポルカ」という少年の体で目覚めていた。 喉を切り裂かれ、殺害されたばかりの体で新宿の街をさまよっていた彼は、一人の少女に救われる。 崎宮ミサキと名乗ったその少女と対峙しているうちにポルカの記憶が徐々に蘇ってくる。 四乃山ポルカを殺害したのは目の前の少女、「崎宮ミサキ」だった。 再びポルカを殺そうと、彼女は襲いかかってくる。
表沙汰にしがたい、公表しても信じてもらえないような奇怪な犯罪――新宿署生活安全課第三資料編纂係、通称「三纂」はそんな事件を専門に取り扱っている。 係長「岩野目ツバキ」を始めとする三纂メンバーたちはそのような犯罪者のことを「厄ネタ」と呼び、未解決事件を追い続けている。 そんな三纂の捜査対象に新たに加わったのが、火災現場に現れた骨、「固結び」された男たち――ポルカの引き起こした事件であった。 三纂の刑事「荒瀬耿三郎」はポルカとミサキに出会い、ミサキが「固結び」事件の関係者であることを見抜く。 一方クラリッサを疑う岩野目はバー「夭桃孤狼」で彼女を問い詰めていた。 そこにポルカとミサキが訪れてしまう。
ポルカは無難に岩野目の占いをこなしていた。 しかし、細呂木が紙に書きつけたメモを見た途端に岩野目の態度が変わる。 紙に書かれていたのは、とある人と岩野目だけしか知りえないはずのマークだった。 岩野目はクラリッサを問い詰める。 占いで託されたメモの内容を唯一知りうる人物――細呂木は生きているのではないかと。 生前は監察官として岩野目と仕事をしていた細呂木は、占いを利用して岩野目に重要な情報を託したのだった。 一方ソリティアもまたそのマークにたどり着き、動く。 犯行予告当日、新宿の空に無数の飛行船が浮かぶ。 機体に描かれたマークを見てポルカは驚愕する。 それは、ポルカがいた世界の――滅びた帝国の国章だった。
変装して占い屋を訪れたソリティアの質問に答え、ポルカは飛行船のマークには横線を一本足す改変が加えられているという事実を述べる。 マークの真実の姿を知るポルカは何らかの形で自分を狙撃した組織にかかわっていると考えたソリティアは、手がかりを得るため、深夜、拷問ビルの屋上に侵入するもすぐに襲撃を受ける。 襲撃したのは侵入者に気づいた小幽だった。 その頃目覚めたポルカは壁に炎で刻まれた火吹き蟲のメッセージを目にしていた。 しかも直接電話をかけてきた火吹き蟲は「貴様もサバラモンドの落とし子か」とポルカに問いかける。 一方、小幽とソリティアが交戦していることを知った四乃山尊は、混沌の場を制圧すべく動き始める。
力を用い、火吹き蟲を探し出そうとしたポルカは屋上にいるソリティアと小幽の存在を察知する。 交戦を続けていた小幽とソリティア、その二人の間に割って入るように突如としてレミングスが降り立った。 一方ビルの前には「火の用心」と書かれたレインコートを着た女子高生が携帯電話を手に佇んでいた。 元いた世界の大事な思い出が汚されている。そう感じたポルカはこの場を制圧するため魔法陣を発動する。 異変を感じたソリティアは煙幕を張りこの場からの脱出を図る。 そこには煙の中に浮かび上がったのは無数の手――ポルカの死霊術「見えざる手の群れ」があった。 その姿はその場にいた者たちの目にとまり、更なる混乱を巻き起こすこととなる。
警視総監室に侵入した怪人ソリティアは、警視総監・鷹巣と対峙していた。 かかってきた電話に出るよう鷹巣に促されたソリティアに、電話の主・雑貨殿はソリティアの狙撃を命じた黒幕が「幅木警視正」であることを告げる。 幅木の元にたどりついた岩野目は、幅木が氷黒との電話で口にした「サバラモンド」とは何なのか問いつめる。 その名を口にした途端、「火吹き蟲」に操られた警官たちが集まり、幅木を『落とし子』だと指さす。 一方、阿牙倉百矢を倒した小幽とミサキたちの元へも火吹き蟲たちが集まっていた。 しかし、新たに現れた人物の制止に従い彼らは去っていく。その人物の名は「阿牙倉マジリ」。 かつて小幽の四肢を奪った張本人であった。
追いつめられた幅木は、薬を使い異常な力を引き出し岩野目に抵抗した。 応援にかけつけた三纂のメンバーたちに、岩野目は「細呂木の件」の容疑者が幅木警視正であると告げる。 仲間の手を借り、岩野目たちの前から逃亡を果たした幅木は、帝国の紋章の描かれたマントを身にまとった青年「シヴィル」に会いに行く。 幅木はシヴィルが自分の逃亡のために力を使ってくれたと感激するが、見捨てるつもりだった幅木を助けたのは、頼まれたからだとシヴィルは言う。 組織――『サバラモンドの落とし子』にかつて、幅木が実験台として差し出した娘ソアラ。 その彼女は研究所の人体実験を生き延び、コードネーム『アラハバキ』として幅木の目の前に現れた。
幅木の霊から情報を引き出そうとしたポルカだったが、組織に娘を捧げたことを誇る幅木に自分を売った父親を重ね合わせ激しい怒りを覚える。 感情に任せ幅木の霊を握りつぶそうとしたその時、何者かの手がポルカを押しとどめる。 霊体から人の形を成したその姿を、ポルカは「陛下」と呼んだ。 陛下――ポルカの「親友」である彼はお前が汚れる必要はないと、ポルカに語りかける。 一方、逃亡中の氷黒は火吹き蟲の集団に拉致され、ソリティアと対峙していた。 火吹き蟲の意図がわからずソリティアは困惑する。 「みんなで平穏に暮らせる世界」のためにもっと深く踏み込む必要がある、と決意を新たにしたポルカは、右腕を失った小幽にある提案をする。
傀雷竜『ウルドヴィジア』の右腕を小幽に与えたポルカは、この腕を信頼の証として、自分と『同盟』を結び、力を貸してほしいと小幽に申し出る。 帝国の紋章に関わる組織に対抗するためにできることはやっておきたい、というポルカを小幽はついに受け入れる。 組織もまたポルカへ近づきつつあった。 占いの館を訪れたシヴィルと対峙したポルカは、顔も見えないほどびっしりと死霊におおわれたその異様な姿に衝撃を受ける。 彼を探るべく、ポルカは魔力を行使しシヴィルの魂に手を伸ばすが、その手は彼の中の魔力とぶつかり弾け飛ぶ。 もう少し深く、とポルカが手を伸ばそうとしたその時、光り輝く石の精霊を頭上に浮かべた少女が止めに入る。
帝国の魔術師サバラモンド、その記憶と人格を転写すべく生み出された『落とし子』それがシヴィルだった。 シヴィルはポルカたちの元を訪れ、ポルカに組織へ入るよう誘う。 ポルカは死霊術を発動し、シヴィルに立ち向かう。 シヴィルとポルカの戦いが始まったことを察知し火吹き蟲たちは動き出す。 100年前にサバラモンドの落とし子によって行われた人体実験の生き残り、それが火吹き蟲の始まりだという事実にたどりついた岩野目は、火吹き蟲たちを止めようと彼らの前に立ちはだかった。 小幽はシヴィルを助けに行こうとしたアラハバキの行く手を阻むため、ミサキはルルの精霊の力に守られた真ポルカを取り戻すため、それぞれの戦いに挑むのだった。