平穏な日常は突如奪われ、織田晶とクラスメイトは異世界に召喚された。その地の国王が語るのは「魔王を倒し国を救ってほしい」というお決まりの言葉。職業が暗殺者と判明した晶は、自分のステータスが勇者をも凌駕する異常な数値であることに疑問を抱く。晶は国王らに不信を感じ単独行動を決意。情報収集のさなか騎士団長サランの知遇を得る。そしてクラスメイトとともに赴いた地下迷宮で、晶は生死の狭間に立つ。
迷宮からの生還を果たした晶は、勇者佐藤の異変に王女と国王の策謀が関わっていることを知った。 その翌日、晶はこの世界での唯一の理解者を喪失する。殺人の濡れ衣を着せられ逃亡者となってしまった晶は、亡き恩人の助言を胸に地下迷宮での潜伏を開始。命を削るような魔物との戦いを経てレベルを上げていく。 深層で遭遇した美しいエルフの少女、彼女の名はアメリア。それは晶の運命を変える出会いだった。
アメリアとの共闘で倒した80階層のボスが、真の姿を露わにする。ブラックキャットという名の魔物は、魔王から晶への伝言を携えていた。 役目を終えたので殺せと言い放つブラックキャット。晶は拒絶するが、生かしておいてはボス部屋の閉鎖は解除されず、いずれ全員が飢えて死んでしまう。 残された唯一の打開策は、主従の契約。失敗は死を意味する儀式のさなか、晶はブラックキャットの心の底を見る。
フォレスト大陸──レイティス国から遠く離れた、エルフの住まう地。迷宮を脱するために晶たちが入った転移魔法陣の出口は、アメリアの故郷に繋がっていた。 しかし家族との再会はアメリアにとって心温まるものではなく、事態は妹キリカと晶の決闘という殺伐とした局面へと展開する。激しい戦いの末、国王はキリカに真実を明かす。懺悔にも似た告白は国王とキリカの、そしてキリカとアメリアの過去を清算する。
海原を渡り、晶たちは新たな舞台に至り着く。獣人の大陸ブルート。そこで出会ったクロウは卓越した技術を持つ鍛冶師にして、先代勇者パーティーの生き残りだった。 決意を込めた直談判に臨むアメリアに、クロウは「アドレアの悪夢」を語る。100年あまりの時を経た回顧には、夜の悔恨とクロウの悲憤がまざまざと焼き付けられていた。そして突如現れた因縁の魔族により、アメリアは窮地に立たされる。