市制施行100周年記念行事の一環として高崎市を訪れていた第2小隊に、緊急連絡が届いた。テロリストによって盗難中のSEEのコンテナが、さらに何者かによってトレーラーごと二重盗難され、関越自動車道を北上中だというのである。 コンテナの中身が気にかかる隊員たち。後藤隊長は何かイヤな勘が働いていた。 体制を整え、トレイラーを待ち受ける第2小隊。だが、野明がその操縦席に見たものは、とても悪人には見えない中年男だけであった。一瞬、躊躇する野明。しかし、そのとき突如として荷台のコンテナから1台のレイバーが出現する。<TYPE7 ブロッケン>、SEE製の純然たる軍用品である。予想外のことに、連携を乱してしまう野明と太田。トレーラーはその虚を突き、逃走した。 第2小隊には、協力を申し出てきたSEEと連携作戦をとるようにと海法部長からの命が下る。ところが南雲から情報を得ていた後藤は、SEEの行動を密輸入の証拠隠滅と看破する。 一方、共産圏への<ブロッケン>密売を企んでいたテロリストの一味である森友が、トレイラーを待機していた。ところが、森友が見たトレーラーの運転手は、見たこともない中年男。この男は一体何者なのか? 再度、待ち伏せを仕掛ける、第2小隊とSEEのレイバー<グラウ・ベア>。作戦は見事に的中し、トレーラーは横転。負傷した森友は、中年男に目的地の新潟へ〈ブロッケン〉の輸送を託すのだが、男は森友の願いも無視する勢いでどこかへ向かおうとしている。実はこの男、妻が産気づいたため、急いで故郷に帰らねばならなくなり、目前にあったトレーラーをつい借用してしまっただけなのだ。 それを知り、すべてをテロリストの責任にしてしまう後藤。南雲はそんな彼の行動を非難するが、最後には「自分は何も見なかった」と言って去って行くのであった。
すべてが朱に染まる夕暮れ、篠原重工の天才プログラマー・帆場暎一が、バビロンプロジェクトの要となるレイバー用海上プラットホーム「方舟」から投身自殺を遂げる。何とか彼を引き留めようと叫ぶ同僚や作業員を背に、海に向かって飛び降りる彼の口元には嘲りの笑みが浮かんでいた。時を同じくして、レイバーが突如暴走する事件が多発。遂には自衛隊の試作レイバーまでが、無人にもかかわらず風洞実験中に暴走事件を起こす。 特車二課第1小隊は、近々正式配備される新型パトレイバー(通称「零式」)に関する研修中のため不在。留守を預かる第2小隊は単独で暴走事件の処理に追われていた。第2小隊の篠原遊馬巡査は、多発する暴走事件の異常性にいち早く気付いて独自に調査を始め、原因が暴走した機体すべてに搭載されていた篠原重工製の最新レイバー用OS「HOS」(Hyper Operating System)ではないかと推測する。また、同様の疑念を抱いていた第2小隊長・後藤喜一警部補は、「HOS」の主任開発者だった帆場の捜査を、本庁の松井刑事に依頼していた。 遊馬の調査の結果、強風によって建造物から発せられる低周波音を引き金として、帆場の意図したとおりに「HOS」が引き起こす暴走が事件の原因であることが明らかとなった。篠原重工から同じ内容の報告を受けた警視庁上層部や政府は、有力企業である篠原重工との関係や「HOS」を認可した国の責任問題の隠蔽を重視し、公式には「HOS」のバージョンアップと称しつつ、「HOS」を旧OSに書き換えることで政治的決着を図ろうとする。 そしてすべての謎が解明された頃、大型台風が東京に近付いてきた。大規模なレイバー暴走を未然に食い止めるため、大音量の低周波音を発し得る「方舟」を解体するべく、第2小隊は本庁黙認のもと緊急出動する。
1999年、東南アジア某国で、PKO部隊として日本から派遣された陸自レイバー小隊がゲリラ部隊と接触、発砲許可を得られないまま壊滅する。しかし、一人の生存者がいた。破壊されたレイバーから脱出した彼がそこで見たのは、異教の神像が見下ろす古代遺跡であった。そして、彼は「彼岸の人」となった。 「方舟」の一件から3年後の2002年冬、かつての特車二課第2小隊の面々は、隊長の後藤と山崎を除いて、新しい職場に異動し、それぞれの日々を送っていた。そんなある日横浜ベイブリッジで爆破事件が起こり、それは自衛隊の戦闘機F-16Jらしき物体から放たれた一発のミサイルによるものであることがテレビによって報道される。そして、これがすべての始まりであった。