豊かな自然に囲まれた、小さな島――鳥白島。 高校生の鷹原羽依里は、母方の叔母にあたる岬鏡子に誘われ、夏休みの間、祖母の遺品整理を手伝うことになっていた。 「さしずめ俺は、傷ついた渡り鳥か……」 木陰で無防備に寝る少女や、上半身裸で堂々と道を歩く少年、親戚にあたるという加藤うみなど、羽依里は鳥白島で様々な人たちと出会っていく。 そんな中、誰もいない夜のプールで泳ぐ不思議な少女、鳴瀬しろはを目撃して……。
鳥白島では島外からの来訪者を『渡りの人』と呼び、歓待するのが習わしとなっていた。 鳥白島の少年団の面々――すぐ上半身裸になりたがる三谷良一や、ゴツい水鉄砲で上半身裸の不届き者を狙撃する野村美希、卓球に異常な情熱を注ぐ加納天善――が、羽依里のために歓迎会を開いてくれる。 そこで羽依里は、木陰で無防備に眠っていた少女、空門蒼と再会して……。 鳥白島での賑やかな日々に充実感を覚える羽依里。 気がかりなのは、なぜか島の人々と距離を置いているように見えるしろはのことで……。
鳥白島での変わらない日常――鏡子から蔵整理の手伝いをやんわり遠慮され、羽依里はいつものように島を散策していた。 そこで出会う、大きなスーツケースを引きずる好奇心旺盛な少女、久島鴎。 鴎は初対面にも関わらず、「羽依里」の名を呼ぶと――この島に来た目的が『宝探し』だと打ち明け、羽依里を『宝探し』の冒険へと誘う。 幼少期に一度、サマーキャンプで鳥白島を訪れたことがあるという鴎。 鴎のスーツケースに貼られた『ひげ猫団』のステッカーに、羽依里は妙な既視感を覚えて――