増沢磐二(浅野忠信)が釈放されてすぐ、事務所に不快な電話と不可解な客があった。不快な電話は一度警察署の接見室で会った遠藤弁護士(吉田鋼太郎)。一方不可解な客というのは正岡虎一、通称正虎(やべきょうすけ)。正虎は戦後の闇市を牛耳り、今は賭場とキャバレーを仕切る男だ。戦時中、保に命を救われたことがある。以来正虎は何があっても保の面倒は自分が見ると心に決めていた。しかし、よりによって一番肝心な時に保は磐二を頼った。それが許せないと言うのだ。奇妙なことに、弁護士と正虎は同じことを要求していた。つまり「この事件から手を引け」と。話を聞いた記者の森田は「その二人は事件に裏があることをご丁寧に教えてくれたようなもんじゃないか」と目を輝かす。
その後、増沢磐二事務所に出版社の社長・羽丘(田口トモロヲ)から仕事の依頼が入る。
磐二への依頼は、上井戸譲治(古田新太)というベストセラー作家が酒浸りで執筆が滞っているので立ち直らせて欲しいということだった。磐二はそれは医者の仕事だと断る。しかし翌日、事務所を訪ねてきた譲治の妻・亜以子(小雪)から、行方不明になった夫を探し出すだけでもお願いできないかと懇願され、渋々引き受ける。亜以子から、どこかの病院に匿われているのではないか、ということを聞き、磐二は闇医者から情報を集め、上井戸譲治が入院している病院を特定、譲治を上井戸家に連れ戻すことに成功する。帰り際、「怖いからもう少し家にいてください」という亜以子に磐二は強引にキスをした。「私をあまり買いかぶらないでください」と。
数日後、台湾に