親を亡くし、天涯孤独な山本美人はバイト先を追い出され、途方に暮れていた。そんな美人が出会ったのは、カフェ・ラ・フレーズで働く学生にして、吸血鬼たる早乙女ルカだった。ルカに救われたことから、エサになることを条件に彼と男子寮で同居することを決めた美人。だが美人には、ルカに言えない秘密があった。
美人はルカと同じ聖ヶ丘男子高校に登校することになり、ルカのバイト仲間でもある神楽坂宝や樹里、それからルカの執事の小森と出会う。カフェ・ラ・フレーズでのバイトも始まり、新たな日常に喜びを感じる美人。そんな矢先、美人はルカが吸血鬼であることを知っている同級生の二階堂蓮に、突然呼び出され……。
宝と樹里の発案で、グランピングに行くことにした美人とルカ。人生初の旅行とバーベキューですっかりハイテンションの美人。一方ルカは表向きは平然としつつも、内心は美人を意識し過ぎてドキドキで混乱気味。さらに、旅行のことを知った蓮もまた、美人を守るためにキャンプ場に現れる。3人の夜は波乱の予感でいっぱい!
運命の女を見つけなければならない。それがわかっていても、美人に惹かれていくルカは、その想いを抑えるため、美人に彼女をつくるよう提案する。そして宝のセッティングで合コンが開催され、美人やルカが参加することに。そこで美人は、牧村舞菜というお嬢様に声をかけられ、思いがけない告白を受けるのだが……。
舞菜からの告白、そして蓮の思わぬ行動に心乱されていた美人は、ルカのある言葉をきっかけに、男子寮を飛び出してしまう。ひとり街をさまよっていた美人は、不良たちに絡まれ大ピンチ!しかし、偶然通りかかった蓮に助けられ、彼の部屋で一晩泊めてもらうことに。そこで美人は、蓮からある秘密を告げられる。
宝と樹里は、ルカを怒らせてしまい落ち込んでいる美人を元気づけようと、海へ連れ出すことに。そこで樹里の宝に対する想いを知った美人は、ルカに向き合う勇気をもらう。一方ルカは、美人に謝るきっかけを見つけ、ある準備を進めていた。ところが、ルカは突然訪ねてきた牧村舞菜の前で倒れてしまい……。
美人との花火大会デートの前に、ルカは美人を襲うつもりで現れた先輩吸血鬼たちと相対していた。どこにいるともしれない運命の女よりも、目の前にいる美人を守りたい。そう願って行動するルカと、美人の絆はより強くなっていく。しかし、ルカが退けたはずの先輩吸血鬼の敵意は、なおも美人に迫りつつあった。
吸血鬼の国に帰国したルカは、長老の占いによって運命の相手の姿を幻視する。それは髪の長い女で、しかも今夜出会うだろうと予言される。一方その頃、美人は蓮と一緒に街へ出かけていた。蓮は美人が女であることを知っても変わらず接してくれる。そのおかげもあり、久しぶりに女性の姿で過ごす美人だったが……。
ルカは出会ってしまった運命の女にどうしようもなく惹かれていく。そんな中、カフェ・ラ・フレーズの改装作業をする美人たち。一緒にいる時間が増えるほど、ますます叶わぬ願いに葛藤していく美人・ルカ・蓮。ある日、美人を連れて実家に帰った蓮に、父親のローティスが「ある能力」について語り始めて……。
美人とルカ、樹里と宝の関係に一石を投じる文化祭を経て、樹里が発案した合コンに参加する美人たち。そこに現れたのは、あの日公園で出会った運命の女と瓜二つの「美子」という女性だった。美子はルカと美人しか知り得ないはずの思い出を語りながら、ルカへと接近していく。運命の女と再び出会ってしまったルカの想いとは……?
ルカが選んだのは、美子。そう感じた美人は悲しみに耐えきれず、蓮にあるお願いをする。一方、何かを企む始祖は、ルカと美子の結婚式を行うことを宣言する。美人を助けられなかった後悔の中、美子と始祖に誘われて吸血鬼の国に向かうルカ。しかし美人が残したサン・シュクレが、ルカを進むべき運命へと導いて……。
美人と蓮の結婚式が進んでいく――それぞれの願いと迷いを胸に。美人の中に、もうルカへの愛が残っていないことは、真っ黒なサン・シュクレが示している。にも関わらず、ルカの手の中でサン・シュクレが赤く輝き始めたのは何故か。愛を知らない少女と吸血鬼が過ごした、男子寮での甘く美しい日々の結末は……。