英国屈指の名門寄宿学校・ウェストン校に新入生として通うことになったシエル。4つの寮の監督生(ルビ:プリーフェクト)・P4が統治する学園は、伝統を重んじ厳しい規律に縛られた閉鎖空間だった。慣れない学園生活に翻弄されるシエルの前に、寮監に扮した執事・セバスチャンが現れる。
ウェストン校に通う複数人の生徒が音信不通になっている。その実態を調査せよ――。 女王の命で学園に潜入したセバスチャンとシエル。 学園を統治するP4に近付くため、シエルは学内の評価を上げ、P4とその寮弟だけの会合に参加する機会を得る。だがセバスチャン特製の茶菓子を手に会合の場を訪れたシエルを、予期せぬ事態が待ち受けていた。
自身を陥れたモーリス・コールへの借りを返すため動き出したシエルは、他寮の所属であるモーリスを監視させるため、ソーマを特例で入学させる。そこで明らかとなったのは、学園一の美少年・モーリスの裏の顔だった。
モーリス・コールによって着せられた濡れ衣を晴らし、P4からの信頼を勝ち得たシエル。しかし未だ校長に近付く機会はなく、音信不通の生徒たちの調査は進まない。そこでシエルは、寮対抗クリケット大会に浮足立つP4とその寮弟たちに、デリック・アーデンの話題を持ち出す。するとP4の表情が一変し――。
デリック・アーデンたちを寮から引きずり出すため、紫黒の狼(ルビ:ヴァイオレット・ウルフ)寮に火を放ったシエルとセバスチャン。しかしデリックは現れなかった。 八方ふさがりのシエルだったが、有力な情報を耳にする。ウェストン校伝統のクリケット大会には多忙な校長が現れる。そして、最も『紳士的なプレイ』をした生徒は、校長主催の『真夜中のお茶会』に招待されるというのだ。
クリケット大会の選手に選ばれたシエル。しかし、彼の所属する紺碧の梟(ルビ:サファイア・オウル)寮は万年最下位の成績。そんな弱小寮が過去1度だけ優勝したことがあった。 『碧の奇跡』と呼ばれる快挙の立役者が父・ヴィンセントであることを知ったシエルだが、奇跡ではなく力尽くで勝利をもぎ取ることを決意するのだった。そして大会は当日を迎える。
決勝戦まで勝ち進んだシエルたち紺碧の梟(サファイア・オウル)寮。一方、とうとう姿を現した校長を追うセバスチャン。選手たちの才能が惜しみなく発揮され、翡翠の獅子(グリーン・ライオン)寮の「力」と紺碧の梟(サファイア・オウル)寮の「策」が拮抗し試が白熱するなか、セバスチャンは校長を捕まえることができずにいた。
熱戦を制し 、クリケット大会優勝をとげた紺碧の梟(サファイア・オウル)寮。後夜祭のメインイベントであるボートパレードで、シエルはヴィクトリア女王に真実を献上することを改めて誓う。その夜、シエルのもとに『真夜中のお茶会』の招待が届く。
クリケット大会での活躍が功を奏し、ウェストン校の絶対君主――校長主催のお茶会に招待されたシエル。 デリック・アーデンたちの失踪について校長とP4を問い詰めるシエルだったが、そこに微笑を浮かべたデリックが現れる。その姿を前にしたP4から、驚愕の真実が明かされる。
生徒失踪の真相。それはP4によるデリック・アーデンら5名の殺害、そして秘密結社・暁(ルビ:アウローラ)学会による死者蘇生だった。 さらに校長に扮していた人物の正体が、かつてファントムハイヴ家の協力者だった葬儀屋(ルビ:アンダーテイカー)であることが明らかになる。彼の目的は『動く死体 』の進化だという。
女王の番犬としての任務を果たし、ファントムハイヴ邸での日常に戻ったシエル。 ファントム社の新商品視察のためセバスチャンたちとともに訪れたロンドンで、シエルは使用人たちの装身具を新調する。その後ファントム社の店舗に着いた一行は、通りで事故に遭遇。セバスチャンは意外な人物と再会する。
ドイツで不可解な死亡事件が発生。被害者たちは皆「人狼(ヴェアヴォルフ)の森」に足を踏み入れ、「魔女の呪い」を受けたと言う。真相を調査すべく、セバスチャンとシエルは使用人たちと共に「狼の谷(ヴォルフス・シュルト)」を訪れる。女性ばかりが暮らすその村で一行が出会ったのは、幼き領主ジークリンデ・サリヴァンだった。
領民たちの反対を制し、サリヴァンはセバスチャンたちに村への滞在を許す。村唯一の男性である、サリヴァンの執事ヴォルフラムは、不信感をむき出しにしながらも一行を「緑の館」へと案内する。晩餐を共にするシエルとサリヴァン。そこに、人狼が現れたとの知らせが飛び込んでくる。
禁を破り、「人狼(ヴェアヴォルフ)の森」を調査するセバスチャンとシエルの体に異変が現れる。シエルはサリヴァンによる浄化の儀を受けるが、心身共に弱ってしまう。主人の治療を引き続き依頼するセバスチャンに対して、サリヴァンは思いも寄らない交換条件を突きつける。
サリヴァンとの交換条件により、彼女の執事として仕えることになったセバスチャン。一方で、別人のようになってしまったシエル。セバスチャンは自分の代わりに、世話役としてフィニを抜擢する。大人に怯えるシエルに優しく付き添いながら、フィニはシエルとの出会いを思い出す。
ヴォルフラムの目を盗み、セバスチャンとスネークが緑の館内を調べている頃、シエルとフィニは人狼の襲撃を受ける。サリヴァンは本来であれば起きえない事実にショックを受け、人狼たちと接触。「究極魔法」の完成を約束して、怒りを鎮めるよう懇願する。
セバスチャンたちは、ヴォルフラムより「狼の谷(ヴォルフス・シュルト)」からの退去を命じられる。そこへ現れたのは、ヴィクトリアからの手紙を携えた、女王の馬丁ジョン・ブラウン。時間の猶予がないと悟ったセバスチャンは、自身を拒絶し続けるシエルをきつく責め立てる。
遂に究極魔法を完成させたサリヴァン。緑の魔女としての責務を果たし、次は村のためにも外の世界でたくさんのことを学びたいと話すサリヴァンだったが、ヴォルフラムに強く反対されてしまう。気落ちする彼女のもとに、セバスチャンとシエルが現れる。
セバスチャンとシエルにより明らかとなった「狼の谷(ヴォルフス・シュルト)」の正体。「緑の魔女」「人狼」「呪い」……その真実を知り、憔悴するサリヴァンに、シエルはある選択を迫る。
血眼になってサリヴァンを追う村人たちと、ファントムハイヴ家の使用人たちが激闘を繰り広げる。渦中で、シエルはサリヴァンをフィニに託し、ある命令を下す。
絶体絶命のシエルを救ったのは、父の親友ディーデリヒだった。彼の調査によると、「狼の谷(ヴォルフス・シュルト)」は人狼や呪いを超えた、更なる脅威を隠し持っているらしい。“それ”は、シエルたちに襲い掛かろうとしていた。
死線を潜り抜け、脱出経路で合流したセバスチャンたち。安堵したのも束の間、執念深く一行を追うヴォルフラムの魔の手が迫る――。
「人狼(ヴェアヴォルフ)の森」から脱出を果たしたセバスチャンたち。ディーデリヒの屋敷に身を寄せたシエルは、寄宿学校での事件以来、行方不明となっていた葬儀屋(アンダーテイカー)がディーデリヒのもとを訪れていたことを知る。
英国に戻った一行。今回の「女王の番犬」最後のミッションは、粗野なサリヴァンをヴィクトリア女王に無事謁見させること。セバスチャンによる、厳しい淑女レッスンが始まる――。