砂漠の中の国、クロウ国に住む小狼は、遺跡を発掘する仕事で生計をたてている。クロウ国の王女サクラとは幼なじみで、実は互いにひかれあっているのだが、どちらもまだその思いをはっきりと口にすることができない。ある夜、サクラが城のバルコニーで物思いにふけっていると、遺跡の方から不思議な音が聞こえてきた。一方、夜を徹する発掘作業のため遺跡に向かった小狼は、そこにいるはずのないサクラの姿を見つける。
「次元の魔女」侑子の元で出会う小狼、黒鋼、ファイ。侑子は三人に「異世界へ行くためには相応の対価が必要よ」と言い放つ。黒鋼が支払う対価は愛刀・銀竜、ファイの対価は背中の文様、そして小狼の対価はサクラとの関係性。それぞれが最も大切にしているものばかりである。三人三様の思いが込められた対価を侑子に託し、一行は異世界へと旅立つ。モコナが一行を送った先は、若者同士が戦っている、関西風の世界だった。
一行が転送された関西風の世界は「ハンシン共和国」。この国では若者たちがチームを作り、それぞれの「巧断」を使って、チームの勢力を争っている。「ここには確かにサクラの羽根の気配がある」と言うモコナ。侑子の知り合いである空汰と嵐の協力も得て、小狼はサクラの羽根を探し始める。黒鋼とファイも小狼の羽根探しに同行するが、その途中、知世によく似た女性を見かけた黒鋼は、彼女を追って姿を消してしまう。
クロウ国で全ての記憶を失って以来、眠り続けているサクラ。小狼たちが彼女の羽根を探している間に、空汰と嵐の家で眠っていたサクラがふと目を覚ます。何かに導かれるかのようにサクラは街をさまよい、笙悟と敵対するチームのリーダー、蟹夫に出会う。蟹夫は、サクラを使って小狼たち一行を自分のチームに引き入れようと画策する。一方、サクラがいなくなったことを知った小狼は、正義の協力を得て、彼女の居場所をつきとめる。
羽根の戻らないサクラは再び眠りこんでしまった。小狼たち一行がなおも羽根を探していると、誰のものともわからない巧断がやってきて、モコナと正義をさらっていってしまう。実はその巧断は、笙悟が遊んでくれないことに腹を立てたプリメーラが小狼をさらおうとして差し向けたものだった。ハンシン城の天守閣から吊るされた正義とモコナを助けるため、プリメーラの挑戦を受けてたつファイ。その戦いの最中、モコナはサクラの羽根の気配を感じて反応する。
笙悟からの巧断バトルの挑戦を受けて立つ小狼。二人の巧断の力は互角で、勝負は白熱する。しかし、バトルの最中、笙悟の巧断がハンシン城を壊してしまい、状況は一変。城にいたモコナ、正義、プリメーラのうち、正義は自分の巧断に救われるが、モコナとプリメーラは城にとり残されてしまうのだ。「一人で逃げちゃだめだ」と決意した正義は、モコナたちの救出に向かう。正義の巧断は巨大化しモコナたちを守るが、その直後、暴走をはじめてしまう。
ハンシン共和国を離れた小狼たちは、モコナの力で新たな世界「ナユタヤ国」に転送される。そこは、邪悪な領主タンバルとその息子ブルガルが、強い秘術の力で領民たちをしいたげている世界だった。ナユタヤ国の市場に転送された小狼たち一行は、そこでチュニャンという少女に出会う。チュニャンの母チェニャンも秘術師だったが、1年ほど前、なぜか突然力が強くなったタンバルたちに殺されてしまったのだという。
小狼たちは、チュニャンの案内で、タンバルたちの支配に不満を持つ人々と出会う。そこには、ハンシン共和国で世話になった空汰と嵐の姿もあったが、もちろん前の世界の二人とは全くの別人。チュニャンは空汰たちに「小狼たちの助けを借りて城を攻めよう」と提案するが、半年前の手痛い敗北が忘れられない人々は同意しない。しかたなくチュニャンの家に戻る途中、一行が城門の前を通りすぎようとしたとき、サクラが城の中に入っていってしまう。
「タンバルの秘術の力の源はサクラちゃんの羽根かもしれない」というファイ。だとすれば、サクラの羽根は城の中にあるはずだ。しかし城には秘術がしかけられていて、容易に入ることはできない。モコナの提案で侑子と取引し、城の秘術を破る玉を手に入れた一行は、ようやく潜入に成功する。城の中にもあちこち秘術が仕掛けられているが、ファイと黒鋼の力で突破。一番強い魔力を放っている部屋にいたのは、キィシムと名乗る謎の女性だった。
小狼とモコナを先に行かせ、キィシムと戦う黒鋼とファイ。利害の一致している二人は、力を合わせてキィシムに立ち向かう。一方小狼は、行く手をはばもうとするブルガルと対決することになる。小狼は、足を痛めていることをブルガルに見抜かれ苦戦するが、なんとかブルガルを倒し、タンバルの部屋にたどりつく。そこにはファイの言った通り、サクラの羽根があった。その羽根を使って小狼たちを撃退しようとするタンバルと、最後の戦いがはじまる。
タンバルが操る秘術の幻にたじろぐ小狼。タンバルは、空汰たちをも秘術で操り、小狼を攻撃する。一方チュニャンは、サクラの導きによって亡き母チェニャンの霊と言葉をかわす。チェニャンの言葉で秘術の正しい使い方を思い出したチュニャンは、母から託された鏡を持ってタンバルの城に向かう。タンバルの術をかけられた空汰たちの攻撃によって、小狼の体は痛めつけられるが、小狼はくじけない。そこに、母の鏡を持ったチュニャンが現れる。
ナユタヤ国を去り、次の世界へと向かう一行。モコナが転送した先は、森の中の湖のほとりだった。モコナは、「この水の中に羽根の気配がある」という。そこで小狼は、湖にもぐってサクラの羽根を探すことにする。サクラが小狼の帰りを待っていると、湖面に大きな魚が現れ、サクラに「おまえはなぜここにいる?」と問いかける。しかし、記憶の多くを失っているサクラはその問いに答えることができない。
舞台はジェイド国、スピリットの町。この町には、「金の髪の姫」と羽根にまつわる不思議な伝説が伝えられていた。一行は、この伝説がサクラの羽根と関係があるのではないかと思い、調べてみようとするが、町の人々の態度は冷たい。ただ一人、親切に一行を迎えた医師カイルは、「しばらく前から子どもが消えてしまう事件が続いている」と説明する。一行がカイルの家に泊まっている間にも、子どもが消える事件は続き、一行に疑いの目が向けられる。
消えた子どもといっしょにいずこかへと姿を消したサクラ。小狼はサクラを探すために、町の中で情報を集める。地主のグロサムの家にしのびこんだ一行は、グロサムも、カイルが持っていたのと同じ歴史書を持っていることを発見。二つの歴史書を見比べた小狼は、カイルの歴史書には欠落したページがあることに気づく。一方、囚われたサクラは脱出して子どもたちを助けだそうと懸命に努力する。
子どもたちを連れ去った犯人はカイルだった。子どもたちの力によってのみ取り出すことができるサクラの羽根。それをわがものとするために、子どもたちを古い城に集めたのだった。城の中で対峙するカイルと小狼たち。その時、水門が壊れ、川の水が怒涛となって城の中に流れ込んだ。落ちてきたガレキによってファイ、黒鋼らと別れ別れになった小狼とサクラは城の奥へと進むが、そのふたりにカイルの魔の手が迫る。
一行は新たな世界、シュトルム国にやってきた。その国では、「ゾラの雷(いかずち)」という謎の力を使って強さを競う試合が行われている。優勝者には、「聖なる宝物(ほうもつ)」が与えられるというが、モコナはその宝物が収められている神殿から、サクラの羽根に似た波動を感じるという。そこで、小狼と黒鋼とファイの3人は聖なる宝物を手に入れるため、試合に参加する。一方、試合場の外に出たサクラはキーファという傷ついた勇者に出会う。
一行がたどりついた世界は、桜都(おうと)国。この国ではまず市役所に行って住民登録をし、職業を決めなくてはならない。平和そうに見えた桜都国だが、着いたその晩、一行は謎の怪物に襲われる。翌日市役所へ行ってみると、怪物は「鬼児」と呼ばれ、それを倒したものには報奨金が出るという。サクラの羽根の情報を集めるのに好都合だと思った小狼は、黒鋼とともに「鬼児狩り」を自らの職業とすることにした。
「鬼児狩り」を職業に選んだ小狼は、同業者の草薙と護刃に出会う。彼らから、ファイが住民登録のときにつけた一行の名前を聞いた黒鋼は激怒。なぜなら、黒鋼は「おっきいワンコ」という名前にされていたからだ。新たな鬼児を退治し、報奨金をもらいに市役所を訪れた一行は、受付で「情報屋」の存在を知る。サクラの羽根について知りたい小狼はさっそく情報屋の絵里衣を訪ねる。絵里衣は、新種の鬼児が出現していると語り、その目撃者を紹介する。
新種の鬼児の目撃者、織葉に会うため、ファイと黒鋼は、歌声ラウンジ「白詰草・四」を訪れる。が、織葉に会うことはかなわなかった。一方、小狼とサクラが店番をしているカフェ「猫の目」には、小狼のウワサをききつけた鬼児狩りの龍王と蘇摩が訪ねてくる。草薙と譲刃も合流し、にぎやかになる「猫の目」。そこにまた鬼児が現れバトルとなるが、草薙たちは鬼児たちの様子がいつもと違うことに気づく。
小狼から「剣を教えてほしい」と頼まれた黒鋼。ふたりはまず剣を買いに武器屋「長庵」を訪れる。黒鋼は「蒼氷」、小狼は「緋炎」という名の剣を手にするが、黒鋼は小狼に「時が来るまで鞘から抜くな」と言い渡す。そしていよいよ黒鋼による厳しい訓練がはじまる。一方、サクラも羽根を取り戻すために自分でできることを考え、カフェ「猫の目」で働きながら、羽根に関係のありそうな情報を集めはじめる。
鬼児狩り以外は襲わないはずの鬼児が、一般市民を襲いはじめた。もう一度「白詰草・四」を訪れたファイと黒鋼は織葉との接触に成功。新種の鬼児について新たな情報を得る。一方黒鋼の指導を受けている小狼は、目隠しをして町に出る。町の中を歩くうちに、小狼は生きているものとそうでないものの気配を区別することができるようになる。その小狼に襲いかかる鬼児。鬼児には、生きているものの気配がなかった。
鬼児たちとともに現れた星史郎と言葉を交わした小狼は、それが本当に星史郎なのか疑問に思い、動揺する。疑問を晴らすため市役所を訪ねるが、市役所の受付嬢は「新種の鬼児は存在しない」「鬼を従えるモノの情報は教えられない」と冷たく答えるばかり。かろうじて「情報をもらえるところ」を教えてもらった小狼と黒鋼は、危険をかえりみずその場所を目指す。ようやく目的地にたどりついた二人は、新種の鬼児に関する新たな情報を手に入れる。
カフェ「猫の目」に星史郎が現れる。あくまでも魔力は使わないと決めているファイは、星史郎の攻撃に・・・。同じ頃、桜都国の市街にも異変が起きていた。鬼児たちがいたるところに出現し、月もずっと満月のままなのだ。鬼児狩りたちも、口々に不安を訴える。一方「猫の目」に帰ってきた小狼と黒鋼は、破壊されたカフェを見て呆然とする。モコナから、「星史郎がサクラを連れて行ったのかもしれない」と聞かされた小狼は、星史郎の行方を追う。
桜都国での出来事は、エドニス国にある妖精遊園地(フェアリーパーク)のアトラクション「夢卵(ドリームカプセル)」が見せていた仮想現実だった。桜都国では「死んでしまった」ファイと小狼も、それが仮想現実だったと知って安堵する。ところが、システムの干渉者=星史郎によって、仮想現実のはずの桜都国が、現実化してしまう。妖精遊園地に出現した桜都国の中で対峙する黒鋼と星史郎。小狼は、ふたりのもとへとひた走る。
ついにその姿を現した「イの一」の鬼児。それは、「夢卵」のシステムを作った開発者の一人だった。星史郎は、その「イの一」の鬼児に、ある問いを投げかける。鬼児の答えは・・・。それを聞いた星史郎は、エドニス国を去る。干渉者である星史郎がいなくなれば、エドニス国も元の状態に戻るはずだった。が、彼が持っていたサクラの羽根の力が強く残ってしまい、妖精遊園地はふたたび鬼児たちに襲われる。
小狼たちがたどりついたのは、空中に謎めいた神殿が浮かんでいる不思議な世界だった。小狼は、出会った老婆から、この国で起きた異変の話を聞く。「願いをかなえてやる」という神の言葉に人々は神殿をめざしたが、その多くは漆黒の兵隊に襲われ、帰ってこなかったというのだ。神殿の力の源がサクラの羽根だと確信した小狼たちは、空中の神殿をめざす。その途上、自分の願いをあらためて思い出す小狼、黒鋼、ファイ。そして、サクラも・・・。
第2シリーズ最初の舞台は「ピッフルワールド」。そこは「ドラゴンフライ」と呼ばれる空飛ぶ乗り物が飛び交う近未来のような世界だった。まもなく開催される「ドラゴンフライレース」の優勝商品はなんとサクラの羽根。優勝して羽根を手に入れるため、小狼たちはレースにエントリーする。運転の練習に励む小狼たちの前に、レースの主催者が現れる。知世=ダイドウジと名乗る彼女は、黒鋼を異世界へと送ったニホン国の姫、知世にそっくりな女性だった。
小狼、サクラ、黒鋼、ファイの4人は予選を勝ち抜き、本選への出場が決まった。他の出場選手も、笙悟、龍王、「密偵衆」の三人など、他の世界で見覚えのあるメンバーが少なくない。小狼は龍王とあらためて友だちとなり、親交を深める。また、サクラも知世と仲良くなり、本選前のひとときを楽しむ。しかし、どうやらこのレースを、何者かが妨害しようとしているらしい。いったい誰が、何のために・・・?結局疑惑は解明されないまま、本選レースが始まってしまう。
「ドラゴンフライレース」決勝。小狼は、自らの機体を犠牲にして龍王の命を救い、リタイアとなってしまう。また、何者かの干渉により、ファイと黒鋼も相次ぎ脱落。サクラだけがレースに残り、優勝を目指して、前を行く選手たちを追う。一方、リタイアした小狼は、干渉者の居場所をつきとめ、龍王とともにその場所に向かう。干渉者は、レースを主催するピッフル・プリンセス・カンパニーの内部にいたのだ。龍王の協力により、小狼は干渉者を取り押さえることに成功するが、犯人はもう一人いた・・・。
ピッフルワールドを発った小狼たちは、見覚えのある世界に着いた。彼らはそこが、以前訪れたツァラストラ国(第1シリーズ第26話「最後の願い」)であることに気づく。その世界には、サクラの羽根がもう一枚残っていた。「もう一枚の羽根」は、フェザードラゴンと呼ばれる竜の角の中にあり、取り返すのは容易ではない。フェザードラゴンから羽根を取り戻そうとする小狼たちに、(この国の)空汰は協力を申し出る。「羽根を取り戻したら、新たな奇跡を起こしてほしい。」と小狼とサクラに頼む空汰。空汰の願う奇跡とは・・・?
次元のトンネルを抜けたら、そこは海だった。小狼たちは、ちょうど通りがかった漁船「ラゴスタ号」に助けられ、しばらくの間乗組員として船の仕事を手伝うことになる。ラゴスタ号の船長は(ナユタヤ国で登場した)タンバル。そして機関長は、小狼の養父とそっくりな少年、藤隆だった。機関室での仕事を通じて、小狼と藤隆少年は次第に心を通わせていく。また、サクラや黒鋼、ファイも役割を与えられ、それぞれ船の上での生活を楽しむ。やがてラゴスタ号は嵐に見舞われ、甲板に出ていた小狼と藤隆少年は海に投げ出されてしまう。
小狼たちが訪れたのは、ずっと夜のままの不思議な世界「城塞都市ビット」。女王となるべき少女が王になるのを拒んでいるため、この世界には朝がこなくなってしまったのだ。この世界の住人は全員魔法使いだが、その魔力も日に日に弱まっているという。少女に仕えるすももと琴子はファイに助力を頼むが、ファイがあっさり断ったため、一行は囚われの身となってしまう。小狼たちが城からぬけだそうとする途中、ファイは王になるのを拒否している少女に出会う。その姿は、セレス国のチィにそっくりだった。
今度の国は「紗羅ノ国」。一行は、次元移動が終わる瞬間に、小狼&サクラ&モコナと、黒鋼&ファイとに分かれてしまう。言葉は通じるので、遠く離れてはいないようなのだが・・・。旅芸人一座のオーナー・鈴蘭に拾われ、一座の舞台を手伝いながら、黒鋼やファイを探すことにする。一方、黒鋼とファイは、鈴蘭一座と対立する集団の長、蒼石たちの世話になっていた。黒鋼たちは蒼石から、彼らが祭る神像「夜叉ノ像」にまつわる不思議な出来事の話を聞く。同じ頃、小狼とサクラも、鈴蘭たちが祭っている「阿修羅ノ像」に対面していた。
「阿修羅ノ像」と「夜叉ノ像」が不思議な光に包まれる。と、その時、紗羅ノ国の上空に亀裂が走り、巨大な渦が生じる。モコナは、渦の向こうにサクラの羽根があると断言し、小狼とサクラを転送してしまう。そして、小狼たちと離れ離れになっていた黒鋼とファイも、やはり渦の向こうの世界へ。小狼たちが転送された先は、月夜の草原。そこは、阿修羅王と夜叉王とが、果てしない戦いをくりひろげる戦場だった。
小狼とサクラは阿修羅王に気に入られ、王と行動を共にする。一方、阿修羅王と敵対する夜叉王の配下には、黒鋼とファイの姿があった。月の城の戦場で、小狼の前にたちふさがる黒鋼の瞳の色は漆黒。姿かたちは同じでも、別人なのか。本人だとしたら、なぜ・・・?思い悩む小狼を、サクラはやさしくいたわる。そのころ阿修羅王は、阿修羅城の池を介して、次元の魔女・侑子と謎めいた会話を交わしていた。
阿修羅王の剣が夜叉王を貫いたその刹那、夜叉王の姿は・・・。呆然と見守る一同に向かって、阿修羅王は夜叉王の真実を告げる。阿修羅王は夜叉王を蘇らせたいと願うが、その願いはかなわず、崩れ去る月の城とともに阿修羅王は最期の時を迎える。小狼たち一行は、ふたたび紗羅ノ国へ転送されるが、はじめに訪れた紗羅ノ国とはどこか様子が異なる。黒鋼、ファイとも再会を果たし、小狼は修羅ノ国と紗羅ノ国の謎を解く。
小狼たちは、とんでもない世界に転送されてしまった。その世界は、なんと絵本の中。モコナ以外の4人は、エメロードが使うサクラの羽根のペンが作りだす世界の中に入ってしまったのだ。4人を絵本の中から現実に戻すには、サクラの羽根のペンを使って、そういう物語を描かなくてはならない。物語の作者は・・・モコナしかいない!小狼たちを助け出すため、モコナは奮闘するのだが、モコナの妄想はとんでもない方向へとふくらんでしまう。
モコナが持っていた羽根が大型トレーラーにひっかかり、そのまま持っていかれてしまう。通りかかった長距離バス「ロードトレイン」に乗り、小狼たちはトレーラーを追う。「ロードトレイン」に乗り合わせた乗客は別の世界で出会ったことのある人ばかり。「人生とは・・・」と語る老人は桜都国の武器屋だし、笙悟、プリメーラ、護刃、千歳もそれぞれ「わけアリ」風で乗車している。そんな中、護刃は小狼たちに協力を申し出る。
小狼たちの乗ったロードトレインが、武装したバイク集団に襲われる。小狼たちは撃退するが、ロードトレインは壊れ、停まってしまう。技術を持っていた千歳の修理で、ロードトレインは翌朝発車し、小狼たちも羽根の追跡を再開。サクラの羽根は依然、先行するトレーラーにひっかかっている。トレーラーのタイヤがパンクしたため、羽根と小狼たちの距離は一気に縮まるが、彼らの前に、ふたたびバイク集団が現れる。
小狼が手にした一冊の本。その本には、少年時代の黒鋼の、悲しい記憶が刻まれていた・・・。舞台はニホン国の諏倭領。太郎鋼丸(黒鋼の幼名)は、父母に守られ、健やかに暮らしていた。ところが、諏倭領にはいつしか魔物が出没するようになり、父は領主として、母は巫女として、それぞれ魔物と対峙することとなる。鋼丸も、早く強くなって父母を助けたいと願う。しかし、魔物たちの力は日に日に強くなり・・・。
小狼がかいまみた黒鋼の過去。それは、レコルト国の図書館に保存されている「記憶の本」が見せたものだった。そしてその原本の表紙にはサクラの羽根が・・・。小狼たちはレコルト国の中央図書館へ行き、記憶の本の原本の閲覧を求める。しかしその本は、かつて羽根の力がもたらした災いへの危惧から、閲覧禁止となっていた。やむなく小狼たちは、記憶の本の原本が保管されている書庫への侵入を企てる。
レコルト国中央図書館の中で、小狼たちは、サクラの記憶に入りこんでしまう。そこはクロウ国。かつて小狼と幸せな時間を過ごした場所だが、もちろんその中に小狼の記憶はない。サクラの記憶の中で、小狼は、クロウ国の遺跡に出現した謎の兵と、黒鋼の母を殺めた者とが、同じ紋章をつけていたことに気づく。はたして彼らは何者なのか・・・?その謎は解けないまま、一行は記憶の本の原本が保管してある場所にたどりつく。
ファイがはじめて使った魔法に助けられ、小狼たちは窮地を脱した。しかし、移動した先はまだレコルト国の中。追っ手から逃れるため、一行は別の図書館の中に身を隠す。その図書館で、小狼はふたたび記憶の本を開き、黒鋼の別の過去を見る。それは、黒鋼が知世に忠誠を誓い、愛刀・銀竜を手に入れたときの記憶だった。自ら鍛えた名刀・銀竜とひきかえに、知世が求めた五つの誓いとは・・・?
たどりついた国で、「ちょっと切なく」なってしまったモコナ。一晩眠ったら・・・モコナ以外の4人が小さくなってしまった!4人がどこにも見当たらず、モコナはあわてふためくが、この国の守り神・ケルベロスに出会ってようやく事の次第を悟る。ケルベロスによれば、この国の「魔の山」に落ちてきた羽根の力で、国中の人間が小さくなってしまったというのだ。もちろんその羽根はサクラの記憶。モコナは、ケルベロスとともに、魔の山へと向かう。
モコナが一行を転送した先は、ナユタヤ国。かつて少女チュニャンとともに極悪非道な領主親子と戦い、サクラの羽根を取り返した国に再び降り立ったのだ。チュニャンと再会した小狼たちは、ナユタヤ国に新たな脅威が生じていることを知る。夜な夜なキィシムの国の民が出没し、人々の魂を奪っていくというのだ。チュニャンは、ナユタヤ国の人々とキィシムの国の民とが憎みあうことに心を痛め、町の人々を説得しようとするのだが・・・。
ナユタヤ国が「表」だとすれば、キィシムの国は「裏」。ふたつの世界は表裏一体だった。キィシムの国に羽根があると知った小狼は、黒鋼、チュニャン、空汰とともにキィシムの国に向かう。キィシムの国の民によるナユタヤ国への侵攻は、かつての領主の息子ブルガルのしわざ。キィシムの国に落ちてきたサクラの羽根を手に入れたブルガルが、その羽根の力でキィシムの国の民を操っていたのだ。小狼は、ふたたびブルガルと対峙する。
今度の世界は、近代的な都市「ラグタイムワールド」。小狼たちは、ダウンタウンの宝石店のショウウィンドウに、サクラの羽根をあしらったブローチが飾られているのを発見する。だが、お金を持っていない一行は、ブローチを買うことができない。宝石店の店主、織葉が「3日間は売らないでおくわ」と約束してくれたため、一行は仕事を探しはじめる。サクラも「おしごと紹介センター」で仕事を紹介してもらい、ウェイトレスや運転手として働こうとするのだが・・・。
ラグタイムワールドを後にした小狼たち一行が転送された先は・・・どこかの国の空の上。そのまま落ちてあわや、という瞬間、何かの力で一行はふわりと浮いた。その国の名は「タオ」。国全体を「僊力(センリキ)」という力が包んでいて、その国にいる人は僊力を使うことができるという。タオの国の首都・崑崙で、モコナは羽根の波動をキャッチ。どうやら羽根は、カオスという名の王が暮らす城にあるらしい。一行はさっそく城に向かい、羽王カオスと対面する。
羽王カオスからもらった羽根によってよみがえったサクラの記憶。それは、幼いころにカオスと出会い、将来いっしょに旅をしようと約束した記憶だった。カオスはサクラに、その約束を今こそ果たそうと迫る。一方、怪鳥・玄鶴(げんかく)の翼がサクラの羽根でできていると教えられた小狼は、黒鋼、ファイとともに玄鶴の住む豪莱山(ごうらいさん)へ向かう。山中で三人は離れ離れになり、小狼は星史郎と、黒鋼は父と、ファイはアシュラ王と、それぞれ対峙する。
羽王カオスと戦い、その強大な力の前に敗れ去った黒鋼とファイ。ひとり残った小狼は緋炎を手にして必死に戦うが、ついに力尽き、倒れてしまう。三人との戦いに勝利したカオスは、ふたたびサクラを旅へと誘う。しかし、サクラがそれを拒否したため、彼女を自分の城に連れて行ってしまう。カオスとの圧倒的な力の差を見せつけられた小狼は動揺し、サクラをカオスの手に委ねようとする。
ファイの助言によって迷いが晴れ、サクラを取り戻す決意を固めた小狼は、黒鋼の刀「蒼氷」を借りて、ふたたび剣の修行に励む。一方、ファイとモコナは羽王カオスの居城である崑崙城に忍び込み、サクラの居場所を探る。城内の騒動に乗じてファイとモコナはサクラの部屋にたどりつくが、そこにはカオスの姿があった。カオスは、ファイとモコナに「サクラを返して欲しければ明日の戦いで私に勝て」という、小狼あての伝言を託す。
いま一度羽王カオスと対峙する小狼。片手に蒼氷、もう片方の手には桃矢と雪兎が鍛えなおした緋炎を持ち、二刀流でカオスに挑む。小狼の力を信じて見守る黒鋼、ファイ、モコナ。そして、サクラは・・・?!「ツバサ・クロニクル」最終章、クライマックス。